問寒別駅

問寒別駅：宗谷北線の要衝を担う小さな駅

北海道天塩郡幌延町問寒別にあるJR北海道宗谷本線の問寒別駅は、1923年の天塩線延伸開通と同時に開業しました。当初は一般駅として多くの旅客・貨物を扱い、地域経済を支える重要な拠点でした。その後、天塩南線、天塩線と線路名称が変わり、1930年には宗谷本線に編入。1971年の幌延町営軌道の廃止や、1982年以降の貨物・荷物取扱いの廃止を経て、1984年には無人駅となりました。

かつては列車交換が可能な相対式ホーム2面2線の駅でしたが、現在は単式ホーム1面1線の無人駅です。駅舎は有人駅時代のものを改築し、現在は貨車駅舎として利用されています。ホームは線路の北東側にあり、駅舎とはスロープで接続されています。2021年度からは幌延町の管理下に置かれ、地域住民の努力によって維持されています。駅舎の改修や、周辺の環境整備も進められています。

問寒別駅の駅名は、アイヌ語の「トイカムペッ（toy-kamu-pet）」に由来し、「土・被さる・川」を意味します。食用土が多く採れたことに由来するという説があります。この地名は、問寒別川と、かつてこの地域に多く存在した食用土壌との深い関わりを示しています。

歴史を振り返ると、1960年には駅舎の改築、1986年には通票閉塞の廃止と運転無人化が行われました。そして2015年には駅舎外壁の改修、2017年には駅名標の盗難といった出来事もありました。近年の大きな出来事としては、2019年のJR北海道による宗谷本線活性化に向けた協議があり、幌延町はふるさと納税などを活用し、2021年度から町の管理下に駅を移行しました。この決定は、問寒別駅が地域住民にとって生活に不可欠な存在であることを示しています。

駅周辺は、北海道道583号、541号、395号などが走り、幌延町役場問寒別出張所、診療所、小中学校、保育所、生涯学習センターなど公共施設が充実しています。また、問寒別郵便局、JA幌延町問寒別支所、給油所、商店なども点在し、生活に必要なインフラは揃っています。

さらに、天塩研究林や、天塩川も近くに位置しています。これらの施設の存在は、問寒別駅が単なる交通拠点としてだけでなく、地域社会の結びつきを支える重要な役割を担っていることを示しています。駅舎周辺は静かながら、日常の生活感が感じられる地域です。また、植民軌道の橋台など、歴史的建造物の名残も残されています。

近年は利用客の減少が課題となっていますが、幌延町による積極的な維持管理により、この小さな駅はこれからも地域住民の生活を支えていくことでしょう。今後、観光客誘致による活性化や、バリアフリー化の推進なども期待されます。問寒別駅は、宗谷本線の小さな駅ですが、その歴史と、地域社会における役割は、決して小さくありません。

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