天塩川

天塩川について

天塩川（てしおがわ）は、北海道の北部に位置する上川総合振興局、留萌振興局、宗谷総合振興局を流れ、最終的に日本海へと注ぐ一級河川です。この川は天塩川水系の本流であり、北海道遺産に認定されています。また、環境省により日本の重要湿地500に指定されていることから、その自然環境の価値が認められています。

地理的特徴

天塩川の源は士別市南東にある北見山地の天塩岳周辺に位置しています。この河川の流域には美しい渓谷が形成されており、周囲では林業が盛んに行われています。また、流域内には岩尾内湖や岩尾内ダムが存在し、周辺環境の保全にも寄与しています。

中流域は稲作が行われる北限地帯であり、名寄盆地にはチョウザメやサケの養殖業が発展しています。天塩川は流域の生態系にも多大な影響を与えています。そして、中川郡音威子府村から下流にかけては、主に酪農が行われる天塩平野が広がり、流域の農業活動に寄与しています。

川は全長256キロメートルで、北海道内では石狩川に次いで2番目に長い河川であり、日本全体では4番目の長さを誇ります。しかし、大きな支流が少ないため、流域面積は5,590平方キロメートルであり、日本国内では10位にランクされています。

河川改修と自然環境

和人が入植した後、川の流れは数回にわたって改修が行われ、その結果として現行の流路が形成されました。特に下流域では、河川改修の跡として三日月湖が多く見られます。ここでの特徴的な点は、河口から158キロメートルの区間に堰や護岸工事が少ないため、自然環境が比較的保全されている点です。

塩水環境と河口の特性

天塩川の河口では満潮時に海水が遡上し、塩分濃度が水面下で明確に分かれています。塩分濃度が高い層に対し、上層は比較的淡水に近い状態が続きます。この特徴は、河口部から約22キロメートルの地点で観察され、河底はほとんどがマイナス標高を維持しているため、自然のダイナミズムを示しています。

また、厳冬期間には河口から130キロメートルまでが完全に凍結し、春先の解氷には地域住民の関心が集まります。解氷日を予測するクイズが行われるなど、地域の文化とも深く結びついています。

名称の由来と歴史

天塩川の名称はアイヌ語に由来していると考えられています。「テㇱ（tes）」は「梁」を意味し、古くからこの地域の地形に沿った自然の様子が名称の形成に影響を与えたとされています。過去には木材の輸送も行われていたため、川の流れに多くの岩が関連しています。

歴史的には、江戸時代の探検家松浦武四郎がアイヌの人々による支援を受けて天塩川を遡行し、1862年に『天塩日誌』として記録を残しました。このことは、後の「北海道」の名称にも影響を与えました。明治時代中期には、流域開拓が進み、河川舟運も発展しましたが、次第に鉄道との共存が図られることとなります。

現代の利用

現在、天塩川は観光地としての側面も持ち合わせています。地域ではカヌーツーリング大会などのイベントが開催され、川の自然美を楽しむ機会が提供されています。また、河川周辺での生業として漁業や農業が今もなお活発に行われており、地域の経済を支えています。

天塩川は、単なる交通路や水源にとどまらず、地域の生態系、文化、歴史を形成している重要な資源であり、今後もその保護と活用が求められています。

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