埼玉県立浦和図書館

埼玉県立浦和図書館：歴史と閉館

埼玉県立浦和図書館は、埼玉県さいたま市浦和区に位置していた県立図書館です。長い歴史と多くの市民に利用されてきた図書館でしたが、2015年3月31日に閉館しました。本記事では、その歴史から閉館に至るまでの経緯、そしてその後について解説します。

建物の歴史と変遷

浦和図書館の起源は、1914年（大正3年）に開館した私立の浦和簡易図書館に遡ります。その後、移管や改称を経て、1970年（昭和45年）に現在の名称である「埼玉県立浦和図書館」となりました。

図書館の建物は、かつてこの地に存在した旧女子師範学校（三条実美によって「鳳翔閣」と命名された）を改装して本館として利用開始されました。その後、老朽化に伴い現在の建物が建設されました。旧女子師範学校の建物の一部は、現在ではさいたま市立浦和博物館として復元され、歴史を今に伝えています。

閉館の理由

2015年の閉館は、複数の要因が重なった結果でした。まず、建物の老朽化、狭隘化、耐震強度不足、バリアフリー対応の未整備などが挙げられます。加えて、さいたま市内に中央図書館を始め、武蔵浦和図書館、北浦和図書館、南浦和図書館、与野南図書館など複数の市立図書館が充実しており、市民が利用できる図書館の選択肢が多くなったことも、閉館決定の背景にあります。

文化的な役割

埼玉県立浦和図書館は、単なる図書館としての役割を超えて、地域文化に貢献しました。映画『北のカナリアたち』や『ソロモンの偽証』といった作品では、ロケ地として使用され、多くの映画ファンにも知られる存在でした。

閉館後

閉館後、図書館の蔵書は主に埼玉県立熊谷図書館に移管されました。一部の資料は、2013年に閉校した埼玉県立玉川工業高等学校の校舎に保管されているとのことです。また、2015年6月11日には、埼玉県立文書館内に「埼玉県立熊谷図書館浦和分室」が開設され、図書館サービスが継続されることになりました。旧図書館の建物は解体され、跡地には埼玉会館広場が整備されました。

アクセスと周辺環境

埼玉県立浦和図書館は、JR東日本各線浦和駅西口から徒歩7分の場所に位置していました。周辺には、国道463号（県庁通り）、埼玉会館、玉蔵院、浦和ロイヤルパインズホテル、埼玉県庁などがありました。特に、埼玉会館とは隣接しており、一体として地域に貢献していました。

まとめ

埼玉県立浦和図書館は、長きにわたり、地域住民の学習・文化活動の中心的な役割を担ってきました。その歴史と貢献は、閉館後も人々の記憶の中にしっかりと刻まれています。現在、その機能は熊谷図書館浦和分室に引き継がれ、市民の知的ニーズに応え続けています。旧図書館の跡地は新たな公共空間として生まれ変わり、地域社会の発展に寄与しています。

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