北のカナリアたち

映画『北のカナリアたち』の概要

『北のカナリアたち』は2012年に公開された日本映画で、東映創立60周年を記念して制作された作品です。本作は湊かなえの短編集『往復書簡』に収められた「二十年後の宿題」をもとにしています。監督は著名な阪本順治が務め、吉永小百合が116本目の出演作品として参加しています。この映画は、行定勲による「北の零年」（2005年）、滝田洋二郎による「北の桜守」（2018年）とともに、吉永小百合主演の北海道を舞台にした三部作として知られています。

撮影

撮影は2011年12月初旬に始まり、札幌や稚内、利尻・礼文島などで行われました。特に冬のシーンは約2カ月間かけて撮影され、その際には記録的な吹雪に見舞われることもありました。夏の撮影は翌年の7月に再開され、最終的には7月18日にクランクアップしました。小学校の撮影にあたっては、平屋の木造校舎が求められましたが適した建物が見つからず、最終的に利尻富士が見える場所にセットを設けることとなりました。なお、このセットは撮影後も残され、「北のカナリアパーク」として一般公開されています。

公開と反響

映画は2012年11月3日に全国330のスクリーンで公開され、初日の2日間で約1億8,000万円の興行収入を記録しました。観客動員ランキングでは初登場第2位となり、その人気を証明しました。また、第36回日本アカデミー賞では多くの部門で優秀賞を受賞し、特に作品賞や最優秀監督賞を獲得しています。さらに、2013年12月にはテレビ朝日系列で地上波初放送されました。

あらすじ

物語は北海道の最北端に位置する離島で、分校の教師を務める川島はるを中心に展開します。彼女は6人の教え子に歌の才能を見出し、合唱を通じて彼らとの絆を深めます。しかし、ある夏の日に悲惨な事故が起き、はるは夫を失い、子供たちも心に深い傷を負ってしまいます。その後、はるは残された教え子たちを思いながら島を去ります。

20年後、東京での生活を送るはるに、教え子の一人である鈴木信人に関する衝撃的な知らせが届きます。彼が事件を起こしたのです。これを機に、はるは再び島を訪れることを決意します。

登場人物

• - 川島はる: 吉永小百合が演じる主人公で、小学校の教師。
• - 鈴木信人: 森山未來が演じる教え子の一人。
• - 戸田（旧姓・酒井）真奈美: 満島ひかりが演じる教え子。
• - 生島直樹: 勝地涼が演じる他の教え子。
• - 安藤結花: 宮﨑あおいが演じる教え子。
• - 藤本七重: 小池栄子が演じる教え子。
• - 松田勇: 松田龍平が演じる教え子。

受賞歴

本作は第36回日本アカデミー賞で最多タイの12部門で優秀賞を受賞し、そのうち3部門で最優秀賞を獲得しています。映画の音楽や撮影、演技においても高い評価を受けました。

書籍化とメディア展開

映画はコミカライズ版としても単行本化され、湊かなえの原案を基にした漫画版が製作されました。これにより、さらに多くの観客に物語が広がることとなりました。

『北のカナリアたち』は、感動的なストーリーと美しい風景、そして日本の映画界を代表する俳優による素晴らしい演技が融合して、多くの人々の心に残る作品となっています。

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