多寄駅

多寄駅：北海道士別市の歴史と自然が息づく駅

北海道士別市多寄町に位置する多寄駅は、北海道旅客鉄道（JR北海道）宗谷本線沿線にある駅です。1903年9月3日、北海道官設鉄道天塩線の延伸開業に伴い設置されました。当初は一般駅として多くの旅客と貨物を扱い、地域の経済発展に貢献しました。その後、鉄道作業局、日本国有鉄道を経て、1987年4月1日にJR北海道の駅となりました。

多寄駅の変遷は、日本の鉄道史の一端を反映しています。1982年には貨物取扱いを、1984年には荷物取扱いを廃止。1984年11月10日には駅員無配置駅となり、1986年11月1日にはCTC導入により完全無人駅となりました。しかし、地域の生活の要として、駅舎は1988年に改築、1999年にはホームの改築と駅舎の移転が行われ、現在も利用されています。駅名の由来は、所在地名に由来し、アイヌ語の「タイオロオマペッ（tay-oro-oma-pet）」、つまり「林の中に位置する川」にちなむとされています。

現在の多寄駅は、士別駅管理の無人駅で、単式ホーム1面1線からなるシンプルな構造です。1999年の改築では、駅前通の線路反対側への延長工事に伴い、駅舎は約20メートル旭川側に移転されました。この移転改築により、駅周辺の利便性向上に大きく貢献しました。

多寄駅の利用状況は、近年減少傾向にあります。かつては多くの乗客で賑わった駅でしたが、自動車の普及や人口減少の影響を受けています。それでも、多寄駅は地元住民にとって重要な交通手段であり、地域の生活に不可欠な存在です。

駅周辺には、多寄地区の中心地にふさわしい施設が充実しています。小中学校、郵便局、士別市役所多寄出張所、警察署駐在所、金融機関、JA支所、スーパーマーケットなどの生活関連施設に加え、診療所や幼稚園も整備されており、生活に必要な機能がほぼ全て揃っています。また、国道40号や道北バスの停留所も近隣にあり、バスによる移動も容易です。

さらに、多寄駅から少し離れた場所には、日向温泉やブリヂストン北海道プルービンググラウンドも立地しています。日向温泉は、日々の疲れを癒すのに最適な場所であり、ブリヂストン北海道プルービンググラウンドは、自動車の性能試験が行われる大規模な施設です。これらの施設の存在が、多寄地区の経済活性化に貢献しているものと考えられます。

多寄駅の隣駅は、士別駅と風連駅です。宗谷本線は、快速「なよろ」の一部列車と普通列車が停車します。多寄駅は、地域の生活の拠点として、そして歴史を刻む駅として、今後もその役割を担い続けることでしょう。周辺の自然豊かな環境と相まって、多寄駅は、北海道の地方都市の静かで穏やかな魅力を体感できる場所となっています。

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