多田宏

多田 宏（ただ ひろし）

多田宏は、1929年12月14日に東京で生まれた、日本の著名な武道家であり、合気道の九段を誇ります。彼は武道の分野での多彩な経歴を持ち、多くの道場で教えを広めてきました。

略歴

多田は第一東京市立中学を卒業後、早稲田大学に進学しました。在学中には空手部に所属し、師匠として船越義珍から指導を受けました。1950年には合気道の聖地である植芝道場に入門し、合気道の創始者である植芝盛平や彼の息子、植芝吉祥丸に学びました。

その後、中村天風や日野正一など、他の著名な師匠たちのもとでも学び続けました。多田は合気道本部道場や防衛庁、さらには学習院大学、慶應義塾大学、東京大学などで師範としての役割を果たし、その教えは日本国内にとどまらず、イタリアなどの海外でも広がっています。彼は1994年に日本武道協議会から武道功労者表彰を受け、2019年にはイタリア政府からイタリア共和国功労勲章を賜ったことで、その国際的な貢献が認められています。

エピソード

多田家は13世紀から対馬守護宗氏に仕え、江戸時代には有力な家老を輩出する家系として知られています。彼自身は幼少期から弓術を学び、日置流弓術竹林派を家伝として受け継いでいました。合気道の入門からわずか6ヶ月で初段を取得し、その後も6段になるまでの昇段を1年ごとに達成しました。この昇段速度は、当時の規定が不明確であったことを考慮すると、非常に異例なものでした。

著作

多田宏は、多くの著作を持っており、さまざまな媒体で彼の武道に関する哲学や技術が紹介されています。例えば、『合気道の呼吸法』では、合気道における呼吸の重要性が語られ、また共著の『合気道は、命の力の高め方、保ち方、使い方を身につける道』では、彼の教えが深く掘り下げられています。さらに、彼が生き方や心の在り方を探求する姿勢が表現された作品もあり、彼の武道に対する考え方が多面的に理解できる内容となっています。

彼はまた、『気の錬磨』という写真集の監修を手掛け、イタリア合気会の50周年を記念したこの作品では、自身の道場生活や実践に関する美しい瞬間が収められています。

関連項目

彼を学んだ内田樹は、合気道の七段という肩書きを持ち、また彼の著書『日本の身体』もあり、合気道の深い関係性がここからも見て取れます。多田宏の影響は、彼の教えを受けた生徒たちに今もなお引き継がれ、合気道界全体に広がり続けています。彼の存在は、日本の合気道における重要なピースであり、多くの武道家にとっての指標となっています。

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