大学ブランド

大学ブランドについての概要

大学ブランドは、日本の高等教育機関が自らのイメージを広めるために行っている一連のブランディング活動を指します。この考え方が注目されるようになった背景には、近年の大学志願者数の増加と、大学の募集定員との均衡がある「大学全入時代」があります。この時代において、各大学は自己のブランドを形成し、他 Universityとの競争においてその位置を確立する必要がありました。

制度の変化と大学ブランドの重要性

また、国立大学の独立行政法人化も、大学ブランドの形成を促進する一因となりました。国立大学は自らの研究成果を元に新たな商品を開発し、販売する機会が増えました。このようにして、「大学ブランド」は単なる名称やイメージに留まらず、具体的な商品を通じて表現されるようになったのです。

大学ブランドの実例

いくつかの大学が具体的に行っているブランディング活動の例を見てみましょう。

国公立大学の取り組み

1. 東京大学：同大学の分子細胞生物学研究所は、戦中に消失と考えられていた黒麹菌を発見し、この成果を基に瑞泉酒造と提携して泡盛「御酒」を販売しています。
2. 北海道大学：地元企業と協力して、学校名にちなむ「札幌農学校」クッキーをはじめ、様々なフード商品を展開しており、ポプラ並木の倒木を使ったオルゴールなども販売しています。
3. 京都大学：古代エジプト小麦を用いたビール「ホワイトナイル」や、学内食堂発祥の「総長カレー」など、独自の商品開発を行っています。
4. 神戸大学：特産の但馬牛を「神戸大学ビーフ」として販売し、地域のオリジナル商品を展開しています。
5. 九州大学：地域の特産物を活かした清酒「九州大吟醸」や「Qビーフ」の事業を推進しています。

私立大学の事例

• - 近畿大学：この大学は、世界で初めて完全養殖に成功したクロマグロを「近大マグロ」として販売し、関連する飲食店も展開しています。
• - 早稲田大学：アディダスやアシックスとの提携を通じて、大学ブランド商品のカジュアルウェアやスポーツウェアを販売しており、収益は校内活動に還元されます。
• - 明治学院大学：アートディレクターによる統一デザインのもと、ブランド価値の向上に努めています。

イベントや地域での展開

2009年以降、紀伊國屋書店で開催される「学市学座」などのイベントでは、様々な大学のブランド商品を集めて展示・販売しています。これに加えて、全国各地の百貨店や見本市でも、大学ブランドの商品が取り上げられることが多くなっています。

結論

大学ブランドは、単なるイメージ作りを超え、各大学が持つリソースや地域との協力を通じて具体的な形で価値を提供しています。これによって、大学は社会における役割を強化し、学生や地域との新しい関係性を築いていくことが求められています。

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