大宅壮一文庫

大宅壮一文庫：雑誌の宝庫、独自の索引で情報を探求する

大宅壮一文庫は、東京都世田谷区にある専門図書館で、公益財団法人大宅壮一文庫によって運営されています。ジャーナリスト大宅壮一の膨大なコレクションを基盤とし、特に雑誌資料に特化したユニークな図書館として知られています。そのコレクションは、週刊誌などの通俗的な雑誌を、大宅独自の視点と方法で索引付けしたもので、一般的な図書館では見つけにくい記事も検索できる点が特徴です。

大宅コレクションの特徴

大宅文庫の核となる大宅コレクションは、約1万種類の雑誌、78万冊を収蔵しています。その中には、明治・大正時代の貴重な創刊号も含まれており、歴史的な資料としての価値も高いです。特筆すべきは、その索引システムです。大宅式分類法では、「人名索引」と「件名索引」の2つを軸に、記事を詳細に分類しています。

人名索引：約14万人の著名人の記事を分類しており、年間約4,000件の新しい人名項目が追加されています。
件名索引：約7,000項目で、世相を反映した独自の項目が特徴です。これにより、一般的な分類法では見つからない記事も検索可能になります。

この索引データベースは、常勤職員による手作業で作成されており、その丁寧な仕事ぶりが、利用者からの信頼を得ています。

大宅文庫の歴史

大宅壮一は、生前、自ら収集した20万冊のコレクションを「雑草文庫」として知人に開放していました。彼の死後、そのコレクションを引き継ぎ、1971年に大宅壮一文庫が設立されました。当初は利用者が少なかったものの、1976年のロッキード事件を機に、多くの報道関係者が利用するようになり、ジャーナリストやライターにとって欠かせない存在となりました。

最盛期には年間約10万人の利用がありましたが、近年は減少傾向にあります。しかし、マスコミ関係者の利用は依然として多く、専門図書館の中でも非常に重要な役割を果たしています。

2018年には、約20年ぶりに人物別の記事目録「雑誌記事人物索引」が刊行され、利便性が向上しました。現在の理事長は大宅壮一の三女である大宅映子氏が務め、評議員と理事によって運営されています。

経営状況と対応策

大宅文庫は、慢性的な赤字経営という課題を抱えています。利用者の減少や国立国会図書館との競合が原因とされていますが、独自のデータベースは、国会図書館の検索システムでは見つからない記事を発見できるため、研究者や作家から支持を得ています。

財政難を乗り越えるため、2017年にはクラウドファンディングを実施し、目標額を大きく上回る支援を集めました。また、入館料の引き上げや支援組織「パトロネージュ」の発足など、安定運営に向けた取り組みが行われています。

施設案内

世田谷本館

所在地：東京都世田谷区八幡山
アクセス：京王線八幡山駅から徒歩8分
開館時間：10:00～18:00（日曜・祝日・年末年始休館）
蔵書数：雑誌約1万種類、約70万冊
入館料：500円

越生分館

所在地：埼玉県入間郡越生町
アクセス：東武越生線武州唐沢駅から徒歩20分
開館時間：毎月第2火曜日（祝日の場合は休館）11:00～16:00（昼休み12:00～13:00）
蔵書数：書籍約3万冊
入館料：500円

受賞歴

1982年：第30回菊池寛賞
日本唯一の雑誌専門図書館としての社会貢献が評価されました。
2018年：第20回図書館サポートフォーラム賞
大衆誌への注目と独自の索引・分類方式、報道活動への貢献、クラウドファンディングでの体制維持が評価されました。
2022年：第43回日本出版学会賞特別賞
出版研究への貢献が評価されました。

まとめ

大宅壮一文庫は、雑誌資料の宝庫として、研究者、ジャーナリスト、ライターにとって不可欠な存在です。独自の索引システムと貴重なコレクションは、他の図書館では得られない情報を提供しています。財政的な課題に直面しながらも、その価値と役割はますます重要になっています。

大宅壮一文庫は、これからも多くの人々に利用され、その歴史と知識を未来へとつなげていくことでしょう。

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