大怪獣のあとしまつ

概要

『大怪獣のあとしまつ』は、2022年 2月4日に公開された日本の特撮コメディ映画です。従来の怪獣映画では描かれることのなかった、巨大怪獣の死骸処理という難題に挑む人々をコミカルかつ風刺的に描いています。監督・脚本は三木聡、主演は山田涼介が務め、松竹と東映による初の共同製作作品としても話題を呼びました。「倒すよりムズい」というキャッチコピーが示すように、怪獣の死後という斬新な視点から物語が展開されます。

ストーリー

日本を恐怖に陥れた巨大怪獣が突如として死亡。人々が安堵する一方で、その死骸は「希望」と名付けられ、新たな問題となります。腐敗によって膨張する「希望」の死骸は、最悪の場合、大爆発を引き起こす可能性がありました。この未曽有の危機に立ち向かうため、政府直轄の特殊部隊・特務隊の若者たちが、国民と日本の運命を背負い、危険な死体処理に挑むという物語です。

キャスト

帯刀アラタ：山田涼介 - 特務隊員で、怪獣の死体処理責任者となる主人公。
雨音ユキノ：土屋太鳳 - 環境大臣秘書で、アラタの元恋人。
雨音正彦：濱田岳 - 総理秘書官で、ユキノの夫。
敷島征一郎：眞島秀和 - 特務隊隊長。
蓮佛紗百合：ふせえり - 環境大臣。
杉原公人：六角精児 - 官房長官。
竹中学：矢柴俊博 - 文部科学大臣。
川西紫：有薗芳記 - 国防軍隊員。
椚山猫：SUMIRE - 特務隊のスナイパー。
道尾創：笠兼三 - 国土交通大臣。
甘栗ゆう子：MEGUMI - 厚生労働大臣。
五百蔵睦道：岩松了 - 国防大臣。
中島隼：田中要次 - 国防軍統合幕僚長。
ユキノの母：銀粉蝶 - ユキノとブルースの母親。
中垣内渡：嶋田久作 - 外務大臣。
財前二郎：笹野高史 - 財務大臣。
真砂千：菊地凛子 - 国防軍大佐。
サヨコ：二階堂ふみ - ブルースが通う食堂の店員。
武庫川電気：染谷将太 - 大怪獣の姿を配信しようとする動画クリエイター。
八見雲登：松重豊 - 怪獣処理方法を売り込む町工場の社長。
ブルース / 青島涼：オダギリジョー - ユキノの兄で、爆破のプロ。
西大立目完：西田敏行 - 内閣総理大臣。

スタッフ

監督・脚本：三木聡
音楽：上野耕路
ナレーション：山根基世
特撮監督：佛田洋
怪獣造形：若狭新一

制作背景

監督の三木聡は、過去の番組企画で映画の裏側を想像することから着想を得て、本作の構想を練り始めました。当初は低予算での企画でしたが、東映が松竹に共同製作を提案し、大規模なプロジェクトとして実現しました。怪獣「希望」の造形は、特撮監督の佛田洋の提案で、ゴジラシリーズを手掛けた若狭新一が担当し、ユニークなデザインが採用されています。

撮影

撮影は栃木県足利市や茨城県笠間市で行われました。当初は2020年4月にクランクアップ予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で中断。その後2021年3月にクランクアップし、2022年2月に公開されました。

作品のテーマと評価

オマージュとパロディ

本作は、特撮作品へのオマージュとパロディを多く含んでいます。特に、なぜ主人公が最初から必殺技を使わないのか、といった疑問をテーマに、既存の作品への敬意を込めた演出が特徴です。

政治風刺とコメディ

政治的な風刺とコメディ要素が本作の軸となっています。製作陣は当初からこの2点を重視していましたが、観客からは「風刺が伝わらない」「コメディ要素が強すぎる」といった声もあがりました。

批評

批評家や観客からは賛否両論が寄せられています。低評価が目立つ一方、日刊スポーツの小林千穂は「コミカルでブラックユーモアに満ちている」と評価しました。しかし、ねとらぼのヒナタカは「アイデアは良かったもののギャグが滑っている」と酷評し、映画評論家の前田有一は「世界ダメ映画選手権があったら、これに勝てるものがあるとは思えない」と述べました。また、服部昇大は、特撮ファンが期待していたものと作品の方向性のミスマッチを指摘しています。多くの批評家は、三木聡監督の「不条理演劇」的な演出が映画には合わないと指摘しました。

興行収入

初週の週末映画ランキングで3位にランクインし、興行収入は1億2200万円を記録しましたが、2週目には7位に順位を下げました。

ノベライズ

本作は、橘ももと時海結以によってそれぞれノベライズされています。

橘もも『大怪獣のあとしまつ映画ノベライズ』(講談社文庫)
時海結以『小説大怪獣のあとしまつ』(講談社KK文庫)

外部リンク

映画『大怪獣のあとしまつ』公式サイト
 映画『大怪獣のあとしまつ』公式X(旧Twitter)
映画『大怪獣のあとしまつ』公式Instagram
大怪獣のあとしまつ - allcinema
大怪獣のあとしまつ - KINENOTE

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