大物崩れ

大物崩れ：戦国時代の転換点となった激戦

大物崩れは、戦国時代初期の享禄4年6月4日（1531年7月17日）、摂津国で発生した合戦です。細川高国と浦上村宗の連合軍が、赤松政祐、細川晴元、三好元長の連合軍に敗れ、高国は自害に追い込まれました。この戦いは、天王寺周辺から始まり、最終的に高国が尼崎市大物町で捕縛・処刑されたことから「大物崩れ」と呼ばれています。「天王寺の戦い」「天王寺崩れ」といった呼び名も用いられることがあります。

開戦までの経緯：高国の窮状と各勢力の思惑

桂川原の戦いで敗れた細川高国は、近江に逃れ、各地を転々として援軍を求めますが、管領としての権威は失墜しており、ほとんどの勢力から拒絶されます。そんな中、備前守護代の浦上村宗が唯一、高国への支援を決断します。村宗は、高国の権勢を借りて播磨国統一という野望を抱いており、窮地に陥った高国との利害が一致したのです。

享禄3年（1530年）7月、村宗は播磨統一を達成します。そして、高国と共に摂津国へ侵攻、池田城を陥落させます。その後、京都守護も掌握、京を制圧します。

これに対し、堺公方は三好元長を総大将に、反撃を開始。三好軍と細川持隆の援軍が摂津中嶋に陣取った細川・浦上連合軍を攻撃する中嶋の戦いが勃発、一進一退の攻防が続きました。

この膠着状態に、播磨守護の赤松政祐が介入します。当初は高国への援軍として西宮に着陣したものの、実は晴元への内応を画策していました。赤松政祐は、父・赤松義村の仇である浦上村宗を討つため、裏切りを決意していたのです。

開戦：裏切りと奇襲、そして壊滅的な敗北

享禄4年6月4日、赤松政祐は高国・村宗軍を背後から奇襲。この裏切りにより、細川・浦上連合軍は混乱に陥り、三好軍の攻撃と相まって壊滅的な打撃を受けます。浦上村宗をはじめとする多くの武将が戦死し、野里川は死体で埋め尽くされたと伝えられています。

それまで優勢だった細川・浦上連合軍は、赤松政祐の裏切りと三好軍の挟み撃ちによって、一気に戦局を覆されてしまいます。この戦いの結果、高国の支配は完全に崩壊しました。激戦の舞台となった尼崎市大物町を地名に冠して「大物崩れ」と呼ばれるようになったのです。

戦後：高国の最期とその後

敗戦後、高国は大物城への脱出を試みますが失敗。尼崎の町屋に身を潜めますが、三好一秀に捕縛されます。そして、晴元の命によって尼崎広徳寺で自害しました。高国の捕縛には、子供たちに瓜を与えることで居場所を突き止めたという逸話も伝わっています。

一方、敗走する浦上軍は赤松軍の追撃を受け、ほとんどが壊滅しました。

永正の錯乱以来続いていた細川氏の内紛は、高国の死によって一応の決着を見ます。しかし、高国の弟や養子による抵抗は続き、晴元による支配は容易ではありませんでした。

交通アクセス

大物崩れの主な舞台となった尼崎市大物町へのアクセスは、阪神電車大物駅から徒歩2分です。

参考文献

戦国合戦史研究会 編『戦国合戦大事典 六 京都・兵庫・岡山』新人物往来社、1989年
今谷明『戦国三好一族 天下に号令した戦国大名』洋泉社、2007年
魚澄惣五郎 編『西宮市史』 第1、西宮市、1959年
『郷土の城ものがたり 阪神編』兵庫県学校厚生会、1973年

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