大船渡線

大船渡線（おおふなとせん）

大船渡線は、岩手県一関市の一ノ関駅から宮城県気仙沼市の気仙沼駅を結ぶJR東日本の鉄道路線です。この路線は地方交通線に分類され、特有の曲がりくねった形状から「ドラゴンレール大船渡線」という愛称が付けられています。かつての経路は一ノ関駅から気仙沼駅を経て、大船渡駅、さらには盛駅までを結んでいましたが、2011年の東日本大震災による津波で大きな被害を受け、不通区間が発生しました。

概要

大船渡線は、1984年（昭和59年）からは急行列車の設定も行われていたものの、多くの部分が沿岸部に位置しているため、津波や自然災害の影響を受けやすい地域でもありました。震災後は、BRT（バス高速輸送システム）として運行されるようになり、2013年からは気仙沼駅と盛駅間がバスで代替運行されています。2020年には鉄道事業そのものが廃止されました。

愛称の由来

大船渡線の愛称「ドラゴンレール」は、当時放送されていたアニメ『ドラゴンボールZ』にちなんだもので、小学生の提案が採用されました。この愛称は、線形が神龍に似ていることや、地域に伝わる龍の伝説から来ています。実際に運行される気動車には、「DRAGON RAIL」と記されたデザインが施されています。

歴史

大船渡線の歴史は長く、磐井地方と気仙地方をつなぐ「磐仙鉄道」と「磐仙軽便鉄道」が以前に計画されましたが、実現には至りませんでした。大船渡線の建設は1918年（大正7年）に認可され、1925年から1934年にかけて全通しました。特に、陸中門崎駅 - 千厩駅間の複雑な線形は、政策的な背景が影響して変わったとされており、地域の政治のなりゆきを反映した形です。

震災とその影響

2011年の震災では、沿岸部に存在する駅舎が流失するなどの大きな被害を受け、鉄道は完全に不通となりました。沿線の自治体はJR東日本と協力し、BRTの導入を進め、復旧活動を続けてきましたが、鉄道の復旧には膨大な費用が必要であることが明らかとなり、最終的には鉄道事業の廃止に至りました。

現在の状況

2020年には、気仙沼駅と盛駅間の鉄道事業が正式に廃止され、BRTが主な交通手段となっています。また、路線の運行は全て各駅に停車する形式になり、かつては存在した直通運転などは行われていません。今でも、観光列車や特別な運行が行われることがありますが、基本的に運行本数は限られています。

この路線は地域の重要な交通手段として長い歴史を持ち続けていますが、自然災害の影響を強く受けた教訓を経て、柔軟な交通手段への移行が求められています。沿線地域の再生に向けて、自治体とJR東日本との協力がこれからも続くことが期待されています。

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