大阪市立東洋陶磁美術館

大阪市立東洋陶磁美術館の概要

大阪市立東洋陶磁美術館は、大阪市北区に位置する美術館で、1982年に設立されました。この美術館は主に住友グループから寄贈された安宅コレクションを基にしており、東洋陶磁に特化した収蔵品を多く有しています。

コレクションの特徴

この美術館には、高麗・朝鮮時代及び中国の陶磁器が中心に、国宝や国の重要文化財を含む約4,000点が収蔵されています。特に、安宅コレクションは日本国内でも特筆すべきもので、中国陶磁と朝鮮陶磁の両方において数々の優れた作品を含んでいます。

安宅コレクションの成立は、安宅産業の二代目会長、安宅英一氏によるものです。彼は戦後、演出家であり文芸評論家である武智鉄二氏が所有していた近代日本画を支援し、収集を始めました。これを契機に安宅産業が美術品の収集を企業として進めること決まり、これが時間を経て多くの名品をコレクションに加える結果となりました。

コレクションの変遷

安宅コレクションは、1951年から始まり、顕著な成長を遂げました。特に日本画については、安宅英一氏自身が多くの作品を集め、最終的には日本最大のコレクションとなりました。その後、陶磁のコレクションも増え、企業としての収集方針に基づいて世界的にも評価されるようになりました。

英一氏は、東洋陶磁のコレクションにも情熱を注ぎ、貴重な名品を次々と手に入れましたが、金銭的な批判にも直面しました。しかし、実際には購入にあたっては厳しい制約があり、資金の使途については会社の了解を得なければなりませんでした。結果的には、その収集活動が企業業績にも影響を与えることとなります。

経営危機とその後

1975年、安宅産業は経営危機に直面し、1977年には伊藤忠商事に合併されました。合併に伴い、貴重なコレクションが散逸する危機があり、文化庁を始めとする関係者からの保存要望が多数寄せられたことから、2000億円を超える財産が関係銀行とともに償却されました。

1980年には、住友グループが大阪市に対して安宅コレクションの寄贈を決定。これに伴い、大阪市は965件、約1000点のコレクションを正式に買い取ることになり、美術館の設立へとつながります。このプロジェクトには、住友グループ21社の協力が不可欠でした。

美術館の設立と設計

美術館は中之島公園内に建設され、1982年に開館しました。美術館の設計はRC+SRC構造で、地上3階、地下1階の規模を誇ります。開館当初から、安宅コレクションは名品の展示を厳選して行い、質の高い公開を目指しています。

美術館はその後も定期的にコレクターからの寄贈を受けており、特に1999年には在日韓国人実業家の李秉昌氏から多くの名品が所蔵されるに至ります。これは、美術館が時代を超えた貴重な文化財の保存と展示に力を入れていることを示しています。

主要な収蔵品

美術館のコレクションには、国宝として認定された「油滴天目茶碗」や「飛青磁花生」など、高麗時代や元代、明代の作品が含まれており、さらには多くの重要文化財も収蔵されています。

美術館は、東洋陶磁の研究や新しい展示方法の追求に努め、時折行われる特別展示では、訪問者へ新たな文化体験を提供しています。さらに、周辺施設や公共交通のアクセスも良好で、訪問者が訪れやすい環境が整っています。

このように、大阪市立東洋陶磁美術館は東洋陶磁の宝庫として、歴史ある収蔵品を未来に向けて大切に保存し続けています。

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