天上の虹

天上の虹 - 持統天皇物語

『天上の虹』（てんじょうのにじ）は、里中満智子による日本の漫画作品です。「持統天皇物語」という副題が示すように、日本の第41代天皇であり、初の女帝である持統天皇を主人公としています。1983年から2015年まで、約30年以上にわたって連載・刊行されました。

概要

物語は、中大兄皇子（後の天智[[天皇]]）の娘として生まれた鵜野讃良皇女（後の持統天皇）を中心に展開します。彼女は、父の同母弟である大海人皇子（後の天武[[天皇]]）に嫁ぎ、皇位を巡る争いや自身の政治的才能と女性としての葛藤に苦悩しながらも、皇后として、そして天皇として歴史に名を刻んでいきます。

物語の中では、鵜野讃良皇女と大海人皇子の夫婦関係だけでなく、額田王を巡る大海人皇子と中大兄皇子の三角関係、大友皇子と十市皇女の悲恋、大津皇子と大名児の愛など、様々な恋愛ドラマが展開されます。また、少し後の時代を描いた里中氏の作品『長屋王残照記』や『女帝の手記-孝謙・称徳天皇物語』との共通の登場人物も多く、続編として楽しむこともできます。

物語は、史実を尊重しながらも、里中氏による大胆な創作が加えられています。しかし、登場人物の生没年や法令・書物の成立時期など、史実で明らかな部分は改変しないというルールが一貫して守られています。

あらすじ

物語は、皇極4年（645年）、鵜野讃良皇女の誕生から始まります。父である中大兄皇子は、蘇我氏の専横を排除するためにクーデター（大化の改新）を起こし、政治の実権を握ります。しかし、その過程で多くの血が流れ、讃良の母である遠智娘も精神を病んで亡くなってしまいます。幼い讃良は、父への憎しみを胸に、いつか父を超える存在になることを誓います。

成長した讃良は、叔父である大海人皇子に嫁ぎます。夫との間には皇子（草壁皇子）をもうけますが、皇位継承を巡る争いが激化し、壬申の乱が勃発します。大海人皇子は勝利し、天武[[天皇]]として即位。讃良は皇后となりますが、政治的な手腕を発揮するにつれて、周囲から冷酷な人間と思われるようになります。

天武[[天皇]]の崩御後、讃良は自ら天皇として即位し、持統天皇となります。藤原京への遷都や歴史書編纂事業など、様々な政策を推進しますが、孫である珂瑠皇子の妃、紀皇女が不倫の末に無理心中を図るという事件をきっかけに、譲位を決意します。しかし、珂瑠皇子の優柔不断な性格に失望し、自ら太上天皇として政治の実権を握り続けます。

晩年、持統天皇は壬申の乱で功績のあった地域を行幸しますが、その途中で襲撃を受け、体調を崩します。死期を悟った持統天皇は、かつて憎んでいた父・中大兄皇子の命日を国忌とすることを決断し、波乱に満ちた生涯を終えます。

主な登場人物

鵜野讃良皇女（持統天皇）: 本作の主人公。聡明で政治的な才能を持つが、愛に苦悩する女性。
大海人皇子（天武[[天皇]]）: 鵜野讃良皇女の夫。壬申の乱を経て天皇となる。
中大兄皇子（天智[[天皇]]）: 鵜野讃良皇女の父。大化の改新を主導し、天皇となる。
額田王: 大海人皇子の妻。中大兄皇子にも愛される。
大友皇子: 天智[[天皇]]の子。壬申の乱で大海人皇子と争う。
高市皇子: 大海人皇子の子。壬申の乱で活躍し、持統天皇を支える。
大津皇子: 大海人皇子の子。聡明だが、持統天皇に警戒される。

内容（章題）

物語は、以下の章で構成されています。

第1章 大化の改新
第2章 有間皇子
第3章 額田王
...（中略）...
最終章 太白（金星）

舞台化

1995年には、OSK日本歌劇団によって『天上の虹〜星になった万葉人〜』として舞台化されました。大阪、名古屋、橿原で公演が行われました。

ドラマCD

日本コロムビアからドラマCDが発売されましたが、現在は絶版となっています。

『天上の虹』は、持統天皇という一人の女性の生涯を通して、古代日本の政治、文化、そして人々の愛憎を描いた壮大な歴史ドラマです。ぜひ一度、手に取って読んでみてください。

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