天使と悪魔

『天使と悪魔』：ダン・ブラウンのサスペンス小説

概要

『天使と悪魔』（てんしとあくま）は、著者ダン・ブラウンによるサスペンス小説で、彼の代表作「ロバート・ラングドン」シリーズの第1作目です。本作は、アメリカで2000年に出版され、日本では2003年に角川書店から上下巻としてリリースされました。翻訳は越前敏弥によって行われ、その後2006年には文庫版が発表され、合わせてオーディオブックも2016年に配信されました。また、この作品は『ダ・ヴィンチ・コード』に続いて映画化もされています。

舞台

物語の舞台はローマであり、特にバチカン市国が重要な役割を果たします。主人公のロバート・ラングドンは、秘密結社イルミナティが起こす一連の殺人事件に直面し、その解決に乗り出します。なお、作中では14世紀から16世紀の著名な人物がイルミナティのメンバーとして描かれていますが、歴史的にはイルミナティは17世紀に設立されたため、この設定はフィクションとなっています。

あらすじ

物語はハーバード大学の宗教象徴学の教授、ロバート・ラングドンから始まります。彼は、欧州原子核研究機構（セルン）の所長であるマクシミリアン・コーラーから、殺害された科学者レオナルド・ヴェトラに関するアンビグラムの紋章についての説明を求められます。レオナルドは、核エネルギーを上回る反物質の生成に成功しましたが、何者かに命を奪われ、その際に胸に焼印が押されていたのです。この紋章がイルミナティに関わるものであるとラングドンは直感しますが、犯人との関連付けにはためらいがあります。

彼は手がかりを求め、レオナルドの娘であるヴィットリア・ヴェトラと共にローマへと向かいます。ローマでは、新教皇を選出するコンクラーベが行われている最中、新教皇の有力候補者が次々と失踪する事態が発生します。コンクラーベの進行役であるモルターティは不安を抱え、バチカンの警護を担当するスイス衛兵隊も同行し、緊迫した雰囲気の中で目撃される奇妙な映像に驚愕します。

一方、前教皇の侍従であるカルロ・ヴェントレスカは、イルミナティを名乗る者からの脅迫電話を受けます。この者は、科学者を弾圧してきたキリスト教会への復讐として、1時間ごとに新教皇の有力候補者を殺害するという宣言をします。失踪した候補者たちの運命が危ぶまれる中、ラングドンは殺害を阻止するために推理を巡らし、手がかりをもとに追跡を開始します。彼の冒険は、歴史、宗教、科学が交錯する壮大なスリリングな旅となります。

主な登場人物

• - ロバート・ラングドン: 主人公で、ハーバード大学の教授。
• - ヴィットリア・ヴェトラ: 欧州原子核研究機構の科学者でレオナルドの娘。
• - レオナルド・ヴェトラ: ヴィットリアの父であり、科学者かつ司祭。
• - マクシミリアン・コーラー: セルンの所長。
• - カルロ・ヴェントレスカ: 前教皇の侍従。
• - モルターティ: コンクラーベの進行役。
• - オリヴェッティ: スイス衛兵隊の隊長。

作品には、サン・ピエトロ大聖堂やシスティーナ礼拝堂などの名所が描かれ、宗教的要素や歴史的背景が色濃く反映されています。『天使と悪魔』は、サスペンスと知的な謎解きが見事に融合した小説であり、読者を魅了し続けています。

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