天台寺

天台寺（てんだいじ）

天台寺は、岩手県二戸市浄法寺町に位置する天台宗の寺院で、山号は八葉山です。奈良時代に行基菩薩によって開かれたと伝えられる古刹であり、特に瀬戸内寂聴が住職を務めたことで広く知られています。境内には美しいアジサイが植えられ、その名所としても有名です。

歴史

寺伝によれば、神亀5年（728年）に行基菩薩が聖武天皇の勅命を受け、八葉山と命名し、桂の大木を刻んで聖観音菩薩を本尊として開山したとされています。ただし、寺としての体裁が整ったのは10世紀中葉と考えられています。

10世紀には十和田火山の噴火による被害を受けた地域の人々の鎮護と祈りのために整備されたとも伝えられています。また、八幡平市に伝わる「だんぶり長者伝説」にも天台寺が登場し、桂清水観世音に参拝して子を授かったという話が残されています。

南北朝時代には「天台寺」の名が現れ、室町時代には糠部三十三所観音巡礼の第一番札所となりました。江戸時代には盛岡藩主南部氏による再興や大修理が行われ、寺領も与えられましたが、明治時代の廃仏毀釈によって大きな被害を受けました。

昭和時代には、境内の杉の巨木が無断で伐採されるという事件も発生しましたが、その後、寺の復興が始まり、1976年には中尊寺貫主であった今春聽が特命住職として就任し、本尊の新たな造立を発願しました。今春聽の死後、瀬戸内寂聴が住職となり、復興に尽力しました。

文化財

天台寺には、国の重要文化財や岩手県の指定有形文化財を含む多くの文化財が所蔵されています。

重要文化財

本堂（附:棟札、造営文書）: 万治元年（1658年）に南部重直によって造営された密教仏堂です。
仁王門: 本堂と同時期の明暦3年（1657年）に造営されました。
木造聖観音立像（桂泉観世音）: 平安時代、11世紀頃の作と推定される「鉈彫」の作品です。
木造十一面観音立像

岩手県指定有形文化財

木造二天王立像: 広目天と多聞天の2体で、本尊とほぼ同時期の作と推定されます。

その他史跡

(伝)長慶天皇陵
姥杉: もっとも太いと言われた杉切株。周囲約15mにも及び、俗に八畳敷きとも呼ばれる。明治36年（1903年）焼失。平成13年（2001年）、史実と測量に基づき復元。
土踏まずの丘

札所

奥州観音霊場の第33番札所となっています。

所在地

岩手県二戸市浄法寺町御山久保33-1

交通アクセス

JR東日本東北新幹線二戸駅より車で20分
JRバス二戸線（二戸駅 - 浄法寺)で15分、「天台寺」下車　参道まで徒歩15分
八戸自動車道浄法寺インターチェンジより5分

関連項目

浄法寺塗

天台寺は、その長い歴史の中で様々な困難を乗り越え、多くの人々の信仰を集めてきました。四季折々の自然に囲まれた境内は、訪れる人々に安らぎと癒しを与えてくれます。

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