南部重直

南部重直

南部重直（なんぶ しげなお）は、江戸時代前期の大名で、陸奥国盛岡藩の第2代藩主。官位は従五位下・山城守。南部氏28代（盛岡南部家3代）当主。

生涯

慶長11年（1606年）3月9日、初代藩主・南部利直の三男として江戸桜田屋敷にて誕生。寛永9年（1632年）に父の死去により家督を継ぎました。藩政においては、祖父・南部信直の時代に着工した盛岡城の築城工事を完成させるなど、盛岡藩の基盤固めに専念しました。

重直は苛烈な性格であったと伝えられています。実子がいなかったため、幕閣に列し譜代大名になることを目指し、堀田正盛の子を養子として迎え、勝直と名乗らせました（ただし、勝直は養子縁組後すぐに18歳で早世しています）。

寛永12年（1636年）4月、参勤交代に10日遅刻したことが原因で、徳川家光の勘気を受け、翌年まで南部藩江戸屋敷にて蟄居処分を受けました。これは、前年から武家諸法度に基づき開始された初の参勤交代での出来事でした。

寛文4年（1664年）9月12日、江戸で死去。享年59歳。

重直は4代将軍・徳川家綱に後継者の選定と南部家の存続を事前に願い出ていました。その結果、重直の死後、家綱は裁定を下し、重直の弟・七戸重信に2万石を減封した上で盛岡8万石を与えて家を継がせました。また、同じく弟の中里直好に新規に八戸2万石を与えて別家を興させ、事実上の分割相続を行いました。七戸重信は後に南部重信、中里直好は南部直房と名を改めました。

ブレスケンス号事件

寛永20年（1643年）7月末、オランダ船ブレスケンス号の乗組員が盛岡藩領の山田浦に上陸し、捕縛されるという事件が起こりました。これが「ブレスケンス号事件」と呼ばれるものです。

船長以下の船員は江戸に護送されることになりましたが、まず盛岡城に連行されました。船長のスハープは、日記に城下町盛岡の印象を以下のように記しています。

（引用元が不明なため省略）

藩主の重直は当初、彼らを密航した宣教師ではないかと疑い、通訳の役人に、ポルトガル人、スペイン人、フランス人、イギリス人、デンマーク人、スウェーデン人、クレタ人（ギリシャ人）ではないかと質問させました。さらに、十字架を差し出して祈祷するように命じましたが、彼らはこれを拒否し、オランダ人であると答えました。また、皇帝（徳川家将軍）の許可を得て、長崎で交易を行っており、毎年江戸で皇帝に拝謁し贈り物もしていると説明しました。藩主はさらに彼らを試すため、踏み絵に用いる聖母マリアの描かれた銅板を差し出し、接吻するように指示しました。しかし船員たちは反対に銅板に唾を吐きかけ、これを砕いても良いかと尋ねました。これを聞いた藩主は大笑いし、彼らが宣教師ではないことを確認しました。また、船員の一人がセイロン島でポルトガル人から受けた傷を見せ、「ポルトガル人は我々の仇敵である」と訴えました。こうしたアピールは藩主に好印象を与えました。

その後、船員たちは2週間ほど盛岡に滞在し、丁重なもてなしを受けた後、江戸へと出発しました。スハープの日記によると、滞在中彼らの身辺の世話をしていた役人は、涙を流して別れを惜しんだと伝えられています。

系譜

父：南部利直（1576年-1632年）
母：武姫、お武の方、源秀院 - 蒲生氏郷の娘
正室：加藤嘉明の三女 - 後に病身より離縁
側室：貞心院 - 本館甚右衛門の妹
側室：隆高院 - 岸本右衛門の娘

養子

男子：南部勝直（1642年-1659年） - 堀田正盛の五男
男子：南部重信（1616年-1702年） - 南部利直の五男

脚注

参考文献や出典元を記載

関連項目

* 田名部おしまこ

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