天正やおよろず

天正やおよろず

『天正やおよろず』は、稀捺かのとによって描かれた漫画作品で、『月刊ガンガンWING』（スクウェア・エニックス発行）にて2002年1月号から2007年1月号まで連載されました。全57話からなるこの作品は、安土桃山時代を舞台に、独特の世界観と魅力的なキャラクターたちが織りなす物語が展開されます。

作品概要

物語の舞台は、日本の安土桃山時代。この時代は、年号が「天正」と称されていたことから、作品タイトルもそれに由来しているようです。物語は、人々を脅かす魔物『喰』（じき）を退治しながら、行方不明となったガルシアと神無（かんな）を追う、ライル、薙刃（なぎは）、迅伐（はやぎり）、鎮紅（しずく）の4人を中心に展開します。

主な登場人物

ガルシア捜索隊

ライル・エルウッド
主人公の一人。イエズス会の修道士でありながら、パン屋の調理場でも働くという異色の経歴を持ちます。日本文化を愛し、温泉、お茶、盆栽をこよなく愛する一方、神経質な一面も。怒ると口から火を吐くという特技（？）も持ち合わせています。

薙刃（なぎは）
主人公の一人。剣に宿ることで『喰』を消滅させる能力を持ちます。食いしん坊で、特に甘いものが大好き。髪の毛がアンテナのように反応し、近くに『喰』がいることを察知します。寝相が悪く、昆布巻きのような状態で寝ていることが多いです。

迅伐（はやぎり）
主人公の一人。勾玉に宿ることで、対象を加速・移動させる能力を持ちます。見た目とは裏腹に怪力の持ち主で、薬作りが趣味。独特な飲み物をよく作り、周囲の人々に勧めています。声が小さく、話すときは「ぽそ」という擬音がつくのが特徴です。

鎮紅（しずく）
主人公の一人。鏡に宿ることで、この世ならざるものの攻撃を防ぐ能力を持ちます。ドジっ子な一面があり、裁縫は得意ですが料理は苦手。パン屋の釣り銭を「へそくり」と称して貯め込む癖があります。

アルド
ライルの後輩で、腹黒い一面を持つ青年。アルプホルンが得意で、夏はアロハシャツを着ています。一見すると儲けのことしか考えていないように見えますが、仲間思いな一面も持ち合わせています。

マリエッタ・テトラツィーニ
イエズス会から派遣されてきた少女。気が強く、世話好きで仕切り屋。料理が得意で、ハトを飼っています。

リタ・レーン
マリエッタと共にイエズス会から派遣されてきた少女。物静かですが、ライルにライバル心を燃やしています。あいまいなことが嫌いで、料理の材料もきっちり量ります。

ジルベルト・ジーリ
ガルシア捜索隊に遅れて参加した青年。情報収集を得意とし、自称「ジル」。屋根からマントで飛び降りて登場することにこだわります。

ガルシア一行

ガルシア・ルルス
ライルの先輩。布教のため日本に来ましたが、ある神社を訪れた際に失踪。その後、『喰』を解放して回っています。

神無（かんな）
薙刃の兄。『喰』を消滅させる力を持つ剣に宿り、その力で封印された『喰』を解放してしまいます。

その他

個性豊かな人々が多数登場し、物語を彩ります。

喰（じき）とは

大昔の神々によって封印された魔物。人の世にあるすべてのものを食らう存在で、様々な形態や大きさを持っています。神社や寺に封印されていますが、神無が宿った剣によって封印が解かれます。身体のどこかに菱形の「印」があり、薙刃が宿った剣でその印を破壊することで退治できます。

物語の舞台

物語は、京都の町中にあるパン屋を中心に展開されます。このパン屋は、ライルたちの住居であり、ガルシア捜索隊の対策本部でもあります。その他、甘味処「さくら亭」や洋服屋など、個性的な店が物語の舞台となります。

書誌情報

単行本：ガンガンウイングコミックスより全9巻
ドラマCD：スクウェア・エニックス、フロンティアワークスより発売

『天正やおよろず』は、個性的なキャラクターたちが織りなす、笑いあり、涙ありの冒険ファンタジー作品です。ぜひ一度、その世界に触れてみてください。

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