太陽工業

太陽工業株式会社：膜構造技術のパイオニア

太陽工業株式会社は、大阪市淀川区に本社を構える、大型膜面構造物（テント構造物）の専門メーカーです。その技術力と実績は国内外で高く評価されており、様々な分野で革新的なソリューションを提供し続けています。

概要

太陽工業は、東京ドームの屋根や埼玉スタジアム2002のスタンド屋根といった、大規模な膜構造物で高いシェアを誇ります。これらの構造物には、ガラス繊維四フッ化エチレン樹脂コーティング膜（通称「テフロン膜」）が用いられています。ドームから産業用テント倉庫まで、幅広い用途に対応できるのが強みです。

また、物流用の輸送容器（フレキシブルコンテナバック）や、廃棄物最終処分場の遮水シート、港湾工事における汚濁防止膜など、環境保全分野にも積極的に展開。「膜面技術」を活かした多様な製品を提供しています。

近年では、太陽光発電システムの開発・販売にも注力しており、中でも「太陽スカイライトソーラー」は、採光性と発電機能を両立する革新的な製品として注目を集めています。

沿革

太陽工業の歴史は、1922年（大正11年）に能村金茂氏が創業した「能村テント商会」に遡ります。第二次世界大戦後の1946年（昭和21年）に、能村龍太郎氏が「能村縫工所」として事業を再建。1947年（昭和22年）に太陽工業株式会社が設立されました。

1964年（昭和39年）には、太陽工業・東京太陽・太陽化学の3社が合併し、新たな太陽工業が発足。その後、海外展開を積極的に進め、1967年（昭和42年）にはニューヨークに駐在員事務所を設立しました。

1970年（昭和45年）の大阪万博では、数々のテント構造物を手掛け、その技術力を世界に示しました。1992年（平成4年）には、財団法人能村膜構造技術振興財団を設立し、膜構造技術の発展に貢献しています。

2000年代に入ってからも、タイ、中国、韓国、オーストラリア、ドバイ、ドイツなど、グローバルな事業展開を加速。2008年（平成20年）には、株式会社太陽エネシスを設立し、太陽光発電事業を強化しました。

日本万国博覧会と膜構造の進化

1970年の大阪万博は、太陽工業にとって大きな転換点となりました。この博覧会で、同社は大空間構造の手段として様々なテント構造物（膜構造建築物）を実現し、世界を驚かせました。世界初の低ライズ巨大空気膜構造である「アメリカ館」や、エア・ビーム方式を採用した富士グループパビリオンなど、革新的な建築物が次々と誕生。これらの実績は、その後の膜構造建築の発展に大きく貢献しました。

膜構造建築物の恒久的利用

新しい膜材料の開発や建築基準法の改正を経て、膜構造建築物は仮設から恒久的な利用へと進化を遂げました。1987年（昭和62年）には、特定膜構造建築物技術基準に基づく膜構造建築物が一般認定され、日本でも恒久的な建築物として利用が可能になりました。太陽工業は、東京ドームをはじめとする数々の大規模プロジェクトに参画し、膜構造建築の普及に貢献しています。

海外事業の拡大

太陽工業は、1992年（平成4年）にアメリカ最大の膜構造メーカーであるバードエアー社を子会社化し、海外事業を本格化させました。アジア、オセアニア、ヨーロッパへと拠点を広げ、グローバルなネットワークを構築。中国では、上海国際サーキット場のサブスタンドを手掛けるなど、大規模プロジェクトを成功させています。

関連会社

太陽工業は、国内外に多数の関連会社を有し、多角的な事業を展開しています。これらの企業との連携を通じて、より幅広いニーズに対応できる体制を整えています。

今後の展望

太陽工業は、膜構造技術のリーディングカンパニーとして、常に革新的な製品とサービスを提供し続けています。環境保全、エネルギー、防災など、様々な分野での社会課題解決に貢献するとともに、グローバルな事業展開をさらに加速させていくことが期待されます。

もう一度検索