女子人

女子人と女人：古代中国の伝説の人種

女子人（にょしじん）や女人（にょにん）は、古代中国の伝説に登場する人種であり、主に女性で構成されている国や島の存在が語られています。これらの伝説は、古代中国の地理書『山海経』や歴史書『三国志』に記録されており、さまざまな文化的背景や物語の中で描かれています。

概要

古代の地理書『山海経』の記述によれば、女子国は巫咸国の北側に位置しており、周囲を水に囲まれた地域です。ここには二人の女子が住んでいると伝えられています。さらに、郭璞の注釈によると、女子人は成長する際、黄池という池で水浴びをすることで子供を宿すとされます。この地では、男の子供が生まれてもすぐに死んでしまうため、成長するのは女の子だけであると記されています。これらの特異な生殖の伝説は、女子人の神秘的なイメージを強調しています。

また、『三国志』の東夷伝には、東の海に男が存在せず、女性だけが生活している島国の記述もあります。類似の内容は、王圻の『三才図会』にも見られ、女人国は東南の海に位置し、女性のみで構成された国として記されています。

日本にも、女護島（にょごのしま）という似た性質の伝説上の島があるとされ、古代の人々には非常に興味深い存在でした。

女子人の登場する文学作品

女子人や女人に関する記録が残る文学作品は、多岐にわたります。例えば、物語『西遊記』では、天竺への旅の途中に「西梁女人国」が登場します。これは女性のみが住む国であり、子母河の水を飲むことで子供を宿すとされています。物語の中で描かれるこの国は、女性の力を強調する象徴的な存在です。

『鏡花縁』という作品では、女児国が舞台として登場しますが、ここでは女性だけでなく、男性も存在しています。社交の中で、女性が男性の格好をし、逆に男性が女性の格好をするという設定になっており、性別の役割が逆転しています。このような構造は、現実とは異なる奇想天外な世界像を表現しています。

また、富川吟雪の『朝比奈島渡』や遊谷子の『異国奇談和荘兵衛』の後編にも登場し、異国情緒あふれる姿が描かれています。これらの作品では、女子国が異国の一つとして言及され、女主が頂点に立つ社会が描かれています。特に、和荘兵衛の漂流先として描かれる女人国には、数千人もの女性が生活しており、その生活様式や文化が詳細に紹介されています。

さらに、歌川国芳による『朝比奈諸国廻り図』では、朝比奈三郎が出会った異国の人物たちが描かれています。そこで「女子国」という題字のもとに、二人の女子人の姿が描かれ、視覚的にも女子文化の存在が表現されています。

結論

女子人や女人という伝説上の存在は、古代中国の文化や価値観を反映した興味深いテーマです。これらの物語を通じて、異なる性別の役割や社会の在り方についての考察がなされており、現代においてもその影響は感じられます。神話や伝説は文化の一部として、常に人々の想像力をかき立てる存在であると言えるでしょう。

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