宇奈月ダム

宇奈月ダムについて

宇奈月ダム（うなづきダム）は、富山県黒部市に位置する重力式コンクリートダムです。このダムは黒部川の中流部に建設されており、洪水調節や発電など、多目的な用途があって利用されています。高さは97メートルで、黒部川水系では唯一の国土交通省直轄の多目的ダムです。

ダムの利用目的と機能

宇奈月ダムは、主に以下の目的で利用されています：

• - 洪水調節: 黒部川は急流であり、大雨の際には氾濫が発生しやすいため、ダムが洪水を調整する機能を果たします。
• - 不特定利水: 周辺地域に必要な水を供給し、生活や産業に役立てています。
• - 上水道供給: 富山県東部地域への水道水の供給を行っています。
• - 発電: 関西電力が管理する発電所を持ち、水力発電を通じてエネルギーの生産を行っています。

ダムは宇奈月温泉街からわずか10分の距離にあり、見晴らしの良い場所に位置しています。訪れた人々は、ダムに設けられた「大夢来館」という展示施設を見学することができます。また、黒部峡谷鉄道のトロッコ電車からもダムの美しい姿を楽しむことができます。さらに、ダム湖のそばには「尾の沼体験交流施設 とちの湯」と呼ばれる温泉施設がオープンしており、訪問者にリラクゼーションの場を提供しています。

ダム建設の背景

黒部川はその急流から、過去に頻繁に氾濫を引き起こしていました。特に1969年には、集中豪雨により大規模な水害が発生し、河川の氾濫が流域に大きな被害をもたらしました。これを受けて、国土交通省北陸[[地方整備局]]は洪水対策と利水を徹底しようとダムの建設を計画しました。

1970年代初頭から事業が始まり、1975年に正式な工事基本計画が策定されました。1981年から1988年にかけて、関連する施設の改良工事が行われ、1993年にはダム本体の工事が本格的に開始されました。最終的に、宇奈月ダムは2001年に完成し、その後、ダムの竣工式が行われました。

連携排砂事業の特徴

宇奈月ダムの特徴的な点の一つに、上流に位置する出し平ダムとの連携排砂があります。これは、堆砂の影響を減少させるための取り組みです。特に、宇奈月ダムは規模が小さく、治水・利水が主目的のため、堆砂が機能に悪影響を及ぼす可能性があります。そこで、出し平ダムが持つ排砂設備を活かし、二つのダムで連携して排砂を行っています。

ただし、この排砂は下流域や海の水質に影響を及ぼすとの指摘もあり、地元の漁業関係者から排砂の中止を求める声も上がっています。これに対して、ダムの運用側は洪水調節を考慮しつつ排砂を実施し、また環境に配慮した運用を目指しています。しかし、さらなる改善が求められている状況です。

まとめ

宇奈月ダムは、その多目的な機能と美しい自然環境に囲まれ、多くの訪問者にとって魅力的なスポットとなっています。ダムは地域の安全を守ると同時に、エネルギーを生み出し、観光資源にもなっており、今後もその重要性は増していくでしょう。

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