安乗埼灯台

安乗埼灯台：歴史と美しさを兼ね備えた灯台

安乗埼灯台は、三重県志摩市にある志摩半島の安乗崎の突端に立つ灯台です。その美しい姿から「日本の灯台50選」にも選ばれており、周辺は伊勢志摩国立公園に指定され、風光明媚な景観が広がります。リアス式海岸が創り出す独特の地形も魅力の一つです。

歴史

この地には江戸時代から灯明台が存在し、航海の安全を見守ってきました。その後、灯台が建設され、数回の建て替えを経て現在に至ります。

初代灯台

1873年（明治6年）4月1日に、初代の灯台が設置・初点灯しました。これは、「灯台の父」と呼ばれるリチャード・ヘンリー・ブラントンの設計によるもので、総ケヤキ造りの八角形木造灯台でした。高さは10.6メートル、灯籠は3.7メートルあり、日本では初めて回転式のフレネル式多面閃光レンズが採用された画期的なものでした。また、日本の洋式灯台としては20番目に建設されました。

この場所にいち早く灯台が建てられた背景には、「伊勢の神崎、国崎の鎧、波切大王なけりゃよい」と昔から船頭たちに唄われていた海の難所であったことが挙げられます。航海の安全を確保するため、灯台の建設が強く求められていました。

1911年（明治44年）には、海岸の海蝕により5メートルほど後方へ移転しました。1932年（昭和7年）には光源が電化され、近代化が進められました。しかし、1948年（昭和23年）には解体され、横浜の灯台局に移されて復元されました。その後、初代の木造八角形の灯台は船の科学館（東京）に移築され、保存されています。灯台跡には、当時の礎石が残されています。

2代目灯台

1948年（昭和23年）8月には、現在の四角形の鉄筋コンクリート造の灯台（高さ12.7メートル）に建て替えられました。1950年（昭和25年）には、レンズが第4等フレネル式レンズに交換されました。1988年（昭和63年）10月からは無人化されています。

2004年（平成16年）4月29日からは参観灯台として一般公開され、多くの人々が訪れています。2013年（平成25年）3月29日には、国の登録有形文化財（建造物）に登録されました。

一般公開

安乗埼灯台は、一般公開されている参観灯台であり、灯台の上まで登ることができます。料金は大人300円、小人は無料です。

交通アクセス

近鉄鵜方駅から安乗行きのバスで約20分、安乗下車後徒歩約20分で到着します。

施設

灯台の高さは16メートルで、建築面積は27平方メートルです。鉄筋コンクリート造で、円筒形の灯室、角柱形の灯塔、方形の付属舎で構成されています。その建築物としての価値が認められ、国の登録有形文化財に登録されています。

灯台資料館

灯台の手前には、数台分の無料駐車場があり、公園として整備されています。その一角には灯台資料館があり、灯台と合わせて見学することができます。資料館では、灯台の歴史や機能、役割などを学ぶことができます。館内には、初代の木造八角形の灯台の3分の1模型が復元展示されており、映画「喜びも悲しみも幾歳月」に関する資料も展示されています。

その他

安乗埼灯台の周辺には、以下の碑や記念碑があります。

駆逐艦春雨救難記念碑
伊良子清白の「安乗の稚児」詩碑

小説及び映画の舞台

安乗埼灯台は、吉井勇の小説「志摩月夜」に登場します。また、木下惠介監督、佐田啓二・高峰秀子主演の映画「喜びも悲しみも幾歳月」（1957年松竹作品）の舞台としても知られています。映画では、主人公が灯台記念日の式典で挨拶をするシーンがこの場所で撮影されました。

関連事項

フレネルレンズ：安乗埼灯台で回転式のものが日本で最初に採用されました。
リチャード・ヘンリー・ブラントン：この灯台の設計者です。
志摩市：安乗埼灯台がある市です。

外部リンク

安乗埼灯台（志摩市観光協会）

安乗埼灯台は、歴史と美しい景観が楽しめる魅力的な観光スポットです。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してください。

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