宝幢如来

宝幢如来について

宝幢如来（ほうとうにょらい）とは、大乗仏教において非常に重要な仏の一尊であり、梵名は「ラトナケートゥ」と言います。この名前の意味は「如意宝珠の旗印を持つ者」というもので、宝幢如来はその名の通り、衆生の願いを叶える象徴とされています。胎蔵曼荼羅においては東方に位置し、「発心」を表す存在とされています。発心とは悟りを求める心情を指し、仏教修行において重要な概念です。

宝幢如来は、菩提心、つまり発菩提心を象徴する旗印を掲げ、その旗を通じて修行を邪魔する諸魔を退ける存在ともされています。この点において、彼は阿閦如来（あしゅくにょらい）と同一視されることもあります。結んだ与願印は、大慈悲の精神のもと、すべての衆生の願いを実現する仏意を示しています。これは、仏教信仰における奉仕の精神と深く結びついています。

また、宝幢如来に関する教えは『大日経』の秘密八印品においても触れられています。この経典の中には、「智慧三昧手を以って、空心合掌に作して、その上に風輪と地輪を散じ、光焰を放つ」様子が描かれており、これは世尊の偉大な威徳を象徴するものとされています。さらに、宝幢如来のマンダラは三角形を形成し、そこに光明が満ちているという特徴もあります。

宝幢如来に関する真言は「ノウマク・サマンダボダナン・ラン・ラク・ソワカ」とされ、この言葉は「普く諸仏に帰命す」と訳されます。この真言を唱えることによって、信者は如来の慈悲や加護を受けるとされ、修行の助けとなります。

このように、宝幢如来は大乗仏教における中心的な存在であり、信仰者にとって希望や導きを提供する重要な象徴です。彼の姿を通じて、菩提心を育み、煩悩を退ける力を得ることができると信じられています。仏教徒にとって、宝幢如来は、霊的成長の道を照らす光明のような存在であり、彼に対する信仰は深い意味を持っています。

関連項目

• - 仏の一覧
• - 胎蔵界五仏

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