宮城峡蒸溜所

宮城峡蒸溜所の全貌

宮城峡蒸溜所（みやぎきょうじょうりゅうしょ）は、宮城県仙台市青葉区に位置するニッカウヰスキーの重要なウイスキー生産施設です。1969年に、同社の創業者である竹鶴政孝によって設立され、その名に込められた「宮城峡」の地名は、周辺の自然環境を反映したものです。ここでは、シングルモルトウイスキーをはじめとする様々なウイスキーが製造されており、スコットランドのウイスキー生産地に例えられることもあるほど、品質に定評があります。

設立の背景

この蒸溜所は、ニッカウヰスキーの第二の蒸溜所として設計され、約20万平方メートルの広大な敷地に広がっています。竹鶴が地方の清水を用いたブラックニッカの水割りを試し、その水質に感動したことが、宮城峡の選定に影響を与えた逸話が残っています。特に、新川川と広瀬川の豊かな水源と、地区特有の気候条件が、ウイスキーの味わいに深い影響を及ぼしています。

使用される水質と環境保護

蒸溜所で使用される水は、新川川の伏流水であり、硬度が低く、ウイスキー造りに適した純度が保たれています。この地域の冷涼な気候はウイスキーの成熟を促し、特に霧が発生しやすい環境が樽を守り、結果的に風味豊かで深い味わいのウイスキーを生み出します。

さらに、この蒸溜所は環境保護にも配慮されており、工場建設に際して木々の伐採を最小限に抑え、自然の地形を生かした造りになっています。

蒸溜所の特徴

宮城峡蒸溜所内には様々な施設があり、訪れる観光客は無料で見学や試飲ができるツアーに参加できます。また、見学者が多いことから、年間約17万から18万人がこの場所を訪れる観光名所にもなっています。

施設内の主要な設備としては、以下のようなものがあります:

• - 乾燥棟: オオムギの麦芽を乾燥させるための特殊な建物で、シャープなデザインが特徴。
• - 蒸溜棟: 単式蒸留器を使い、時間をかけて丁寧に仕込むことで、まろやかなモルトウイスキーを創り出します。
• - ゲストホール: 見学者が試飲するエリアで、ここで購入できる製品や限定品が販売されています。
• - 製樽棟と貯蔵庫: ウイスキーの貯蔵に使用される樽を手作りで製造し、数多くの貯蔵庫が整備されていることが特徴です。

沿革と発展

1971年から始まった洋酒の完全自由化やウイスキーの関税引き下げを経て、国内外での需要が急増し、「第三次ウイスキー戦争」とも呼ばれる状況に至りました。このような時期、ニッカウヰスキーはさらなる生産拡大を目指し、1971年には全国からスコッチウイスキーに劣らない高品質な製品を提供することを決定しました。その後、1987年にはNHKの大河ドラマ『独眼竜政宗』の影響もあり、観光客数が大幅に増加しました。

近年では、竹鶴をモデルにしたNHKの連続テレビ小説『マッサン』の放送に伴って、再び多くの訪問客が蒸溜所に足を運んでいます。具体的には、2015年には見学者数が約34万人に達し、過去最高を記録しました。

アクセスとインフラ

宮城峡蒸溜所へのアクセスは、仙山線の作並駅から徒歩で約25分と比較的便利であり、バス路線も充実しています。自動車利用では東北自動車道の仙台宮城インターチェンジから短時間で到達可能です。

多くのウイスキー愛好者や観光客が訪れる宮城峡蒸溜所は、歴史あるブランドと共に、継続的に発展を続けています。ここで生まれるウイスキーは、まさにその土地の水や気候、技術の結晶であり、多くの人々に楽しみを提供し続けています。

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