尋常性白斑

尋常性白斑（じんじょうせいはくはん）

尋常性白斑とは、皮膚に存在するメラニン細胞が不規則に損失されることで、皮膚の色素が失われる慢性的な皮膚疾患です。英語では「vitiligo vulgaris」と呼ばれ、別名として「しろなまず」とも知られています。この病気は先天性の遺伝子疾患である白皮症（アルビノ）とは異なり、後天的に発症するものです。特に有名な例として、アメリカの歌手マイケル・ジャクソンの外見がこの病気によるものであることが広く知られています。

原因

尋常性白斑の具体的な原因は未だはっきりしていませんが、研究によれば遺伝的要因、自己免疫疾患、環境要因などが関連しているとされています。メラニンを生成するメラニン細胞が消失や機能停止することが主要な問題であり、これが皮膚の色素喪失を引き起こします。また、頭髪に白斑が生じることもあり、この際にはその部分の毛髪が白くなることもあります。化学物質による影響で、特定の成分が皮膚の色素脱失を引き起こすこともあります。特に2013年には、化粧品中の成分ロドデノールが問題視され、多くの白斑が報告されました。

疫学

尋常性白斑は全ての白斑の中で約6割を占めており、日本における発症率は2009年の研究で約1.68%とされています。全世界的には0.5%から1%の人々がこの病気に罹患していると推測されています。また、この疾患は治療に抵抗しやすく、再発する可能性が高いです。アメリカでは発症率は1%から2%とされていますが、20%から30%の患者に家族内での発症が確認されています。

分類

尋常性白斑にはいくつかの分類が存在します：

• - 汎発型: 皮膚の特定の部位に関係なく、広範囲にわたって脱色素斑が生じます。徐々に拡大し、最終的には全身に広がることがあります。

• - 神経分節型: 後天的な要因によって脱色素斑が発現します。ストレスや皮膚への刺激が引き金となることが多く、脱色素斑は特定の皮膚の分節に一致します。

治療

治療は非常に難しく再発することが多いです。一般的な治療法には、ステロイド外用薬やナローバンドUVB療法が含まれます。日焼けを避けることも、皮膚の色を目立たなくする手助けになります。日本のガイドラインでは、ステロイド外用薬が推奨されており、効果がない場合にはその他の治療に切り替えることが示唆されています。特に限局型では治療の効果が高いものの、汎発型では効果が薄いとされています。

ナローバンドUVB療法の場合、PUVA療法よりも副作用が少なく、治療効果も期待できます。最新の研究では、自分の表皮細胞を白斑部位に注射し再色素沈着を促進する方法も試みられています。特にマイケル・ジャクソンの外見を改善するために用いた脱色治療として、モノベンゾンが知られています。

子供の白斑

子供においても尋常性白斑は発症することがありますが、治療法としてはタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤が推奨されています。これは副作用が少なく、光線療法のナローバンドUVB療法が優れた効果を示しています。

マイケル・ジャクソンについて

マイケル・ジャクソンの白斑は、火傷やストレスからくる後天的な症状であり、先天性のものではありません。彼は生前、自己の健康状態について偏見や誤解に悩まされたことが多く、彼の病が公に知られることになったのは、司法解剖によってでした。

参考文献

• - 日本皮膚科学会「尋常性白斑診療ガイドライン」

以上が尋常性白斑に関する概要です。この疾患についての正しい知識を持つことで、より理解が深まることが期待されます。

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