小城公園:歴史と自然が織りなす憩いの空間
佐賀県小城市小城町に位置する小城公園は、桜の名所として知られるだけでなく、歴史と自然が融合した魅力あふれる都市公園です。別名「桜岡公園」とも呼ばれ、その歴史は江戸時代にまで遡ります。
歴史の息吹:藩主の想いが創り上げた景観
公園の起源は、
肥前国小城藩主、初代鍋島元茂と二代鍋島直能によるものです。元茂は、公園内にある小高い丘(当時は「鯖岡」と呼ばれていました)に桜を植樹し、
茶屋を設けました。その後、直能は「桜岡」と丘の名前を改め、桜の植樹をさらに進め、景観整備に力を注ぎました。
1658年(万治元年)には、木下順庵が桜岡の景勝を記した『桜岡記』が著され、
林鵞峰や林鳳岡といった儒者も詩を詠むなど、桜岡は広く知られるようになりました。さらに、和歌の指導を受けていた直能は、公家などに桜を詠んだ和歌を募り、『岡花二十首和歌』を編纂するなど、文化面でも貢献しました。
1684年(天和4年)、隠居後の直能は、桜岡南麓に池と植栽を配した庭園「自楽園」を造営しました。これは、司馬温公の『独楽園』にちなみ命名されたものです。
明治時代に入ると、
1875年(明治8年)に
佐賀県最初の公園として「桜岡公園」として開設されました。その後、
小城市の管理となり、公園はさらに発展を遂げ、鍋島家より寄贈された自楽園が編入されたことで、「小城公園」と改称されました。
見どころ満載:歴史と自然の調和
小城公園には、数多くの見どころがあります。
自楽園: 鍋島直能が築いた歴史的な庭園。心字池を中心とした美しい景観は、四季折々の変化を楽しめます。
烏森稲荷神社: 1699年創建。江戸時代、
小城藩屋敷内にあった烏森稲荷を勧請した神社で、現在は桜岡の頂上に位置しています。
岡山神社: 1789年創建。祭神は鍋島元茂と鍋島直能。境内には、有田焼の灯籠や小城出身の書家・中林梧竹の筆による石碑などがあります。
茶筅塚古墳: 桜岡の頂上にある
前方後円墳。
4世紀後半に造営されたと推定され、
佐賀県最古級の
古墳の一つです。
これらの歴史的建造物に加え、公園内には約3,000本の桜が植樹されており、春には壮観な景色が広がります。また、25,000本の
ツツジやフジも咲き誇り、四季を通じて美しい花々を楽しむことができます。園内には、ホタルが生息する小川も流れており、初夏の夜には幻想的な光景を目にすることができます。
充実の施設とイベント
小城公園には、運動場、テニスコート、遊具広場などの施設も整備されており、老若男女問わず楽しむことができます。
また、春には「春雨まつり」、夏には「おぎアマチュア音楽祭」など、様々なイベントが開催され、地域住民の交流の場となっています。
小城公園は、歴史と自然が調和した、心安らぐ空間です。
佐賀県を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。