就職率

就職率とは

就職率とは、一般的に、就職を希望する人のうち、実際に就職できた人の割合を指します。日本では、この数値は労働市場の健全性や教育機関の成果を測る重要な指標として用いられています。

就職率に関する各種統計

就職率は、様々な機関が異なる方法で算出しており、いくつかの種類があります。主なものとして、以下の3つが挙げられます。

1. 一般職業紹介状況(職業安定業務統計): 公共職業安定所（ハローワーク）における求人、求職、就職の状況をまとめたもの。
2. 大学等卒業予定者の就職内定状況等調査（就職（内定）状況調査): 大学、短期大学、高等専門学校、専修学校の卒業予定者の就職内定状況を調査したもの。
3. 学校基本調査: 学校卒業者のうち、就職した人の割合を調査したもの。

これらの統計は、それぞれ異なる視点から就職状況を捉えており、多角的な分析を可能にしています。

就職率と就職内定率

公的統計では、厚生労働省や文部科学省が、大学等の卒業予定者や高校生の就職状況を調査しています。

• - 大学等卒業予定者の就職状況調査（厚生労働省）
• - 高校・中学新卒者の就職内定状況等（厚生労働省）
• - 大学等卒業予定者の就職内定状況等調査（文部科学省）

これらの調査では、10月1日、12月1日、2月1日現在の調査結果を「就職内定率」、4月1日現在の調査結果を「就職率」としています。一般的に、内定率は就職活動の進捗を示す指標として、就職率は最終的な就職状況を示す指標として用いられます。

就職率の計算式

就職率は、以下の計算式で求められます。


就職者数 ÷ 就職希望者数


ここでいう「就職者」とは、正規の職員（1年以上の非正規職員を含む）として最終的に就職した者であり、企業などから採用通知を受けた人を指します。「就職希望者」とは、卒業年度中に就職活動を行い、卒業後速やかに就職を希望する人を指します。進学、自営業、家事手伝いなどを希望する人は含まれません。

卒業者に占める就職者の割合

学校基本調査では、以下の計算式で「卒業者に占める就職者の割合」を算出しています。


就職決定者数 ÷ 卒業者数


この割合は、学校全体の就職状況を把握するのに役立ちますが、異なる年のデータを比較する際には、卒業者数の変動にも注意が必要です。

就職希望率

就職希望率は、以下の計算式で算出されます。


就職希望者 ÷ 卒業予定者数


この指標は、卒業予定者のうちどれだけの人が就職を希望しているかを示すものです。

学校段階別の就職率の推移

各教育段階を終了した後の就職率には、それぞれ特徴的な推移が見られます。

中学校卒業後

かつては労働力として期待された中卒者の就職率は、進学率の上昇や高学歴化により低下傾向にあります。特に国立・私立中学校では就職者はごく少数で、公立中学校と比べても非常に少ない状況です。

• - 戦後ピーク: 1952年 47.5%
• - 2004年: 0.7%(男性1.0%、女性0.4%)

職種も、以前は事務職などのホワイトカラーも存在しましたが、現在は技能工などのブルーカラーが中心となっています。また、中卒者は離職率が高い傾向にあります。

高校卒業後

高校卒業後の就職率は、地域によってばらつきが見られます。例えば、2009年度の卒業生では、最高が富山県の98.1%、最低が沖縄県の75.9%でした。

高等専門学校・短期大学卒業後

高専卒業者の就職率はほぼ100%と非常に高いですが、短大卒業者の就職率はバブル崩壊後に低下しました。ただし、学科によって進学率は大きく異なるため注意が必要です。

• - 短大卒業者の戦後ピーク: 1990年、1991年 87%
• - 2004年: 61.6%(男性47.7%、女性63.2%)

大学卒業・大学院修了後

大学卒業者の就職率は、バブル経済崩壊後に一時的に低下しましたが、近年は回復傾向にあります。特に2017年以降は70%以上を維持しており、2019年には78%を記録しました。以前は男性の方が高かった就職率も、2000年以降は女性の方が高くなっています。

大学院修了者も、就職しないケースはありますが、近年は修了時に就職が決まらないケースが増加傾向にあります。特に博士課程修了者ではオーバードクター問題が深刻化しています。

正規の職員の割合

2012年以降は、正規の職員として就職した人の割合も算出されるようになりました。2019年時点では、就職者全体の75.3%が正規の職員として就職しています。正規の職員とは、雇用期間の定めがない者を指し、雇用期間の定めが1年以上あり、かつ週30時間以上所定労働がある者は「正規の職員等でない者」として区分されます。雇用期間が1年未満、または所定労働時間が週30時間未満の者は、一時的な仕事に就いた者として就職者には含まれません。

まとめ

就職率は、その算出方法や対象とする集団によって様々な解釈ができます。この記事では、就職率に関する基本的な知識から、学校段階別の推移までを網羅的に解説しました。就職を取り巻く現状を理解する上で、この記事が参考になれば幸いです。

関連情報

• - 就職活動
• - 中学校、高等学校、高等専門学校、短期大学、大学
• - フリーター
• - 離職率

もう一度検索