山中康裕

山中 康裕（やまなか やすひろ）

概要

山中康裕は、1941年9月30日、愛知県名古屋市で生まれた日本の医学者及び精神科医です。京都大学の名誉教授として知られ、学位は医学博士です。彼は、精神医学と臨床心理学の分野での研究・実践を通じて、特に芸術療法や遊戯療法、箱庭療法といったテーマに関しても多大な貢献をしてきました。

学歴とキャリア

1966年に名古屋市立大学医学部を卒業し、1971年には同大学の大学院医学研究科で博士課程を修了しました。在学中、萩野恒一教授からバウムテストについて教わり、これが彼の芸術療法への関心を引き起こすきっかけとなりました。この時期に、病院での芸術療法の活用を積極的に行ったことが評価され、彼はその後、南山大学の助教授としてキャリアを積むこととなります。

1992年には京都大学の大学院教育研究科の教授に就任し、2001年からは研究科の長を務めました。2005年には京都大学を退職し名誉教授に就任、さらに翌年より浜松大学大学院で教授を務めています。

研究と専門性

山中康裕の業績は、神経症や発達障害に対する遊戯療法の研究に及んでおり、特に自閉症の子どもとの臨床経験に基づく著作『少年期の心』は広く知られています。この本では、具体例を通じて子どもたちがどのように治癒していくかに焦点を当て、豊富な表現手法を通した療法の重要性が語られています。

また、箱庭療法に関しても多くの貢献をしており、彼自身の翻訳により「カルフ箱庭療法」としてその普及を推進しました。さらに、箱庭の国際学会の設立にも貢献し、日本における箱庭療法の発展に尽力しています。

芸術療法については、「芸術表現療法」との名称を定め、評価の観点からくるセラピストやクライアントの負担軽減にも配慮したのが特徴です。彼の影響は、臨床心理学の分野だけでなく、教育や医療にも広がっています。

受賞歴

山中康裕は、1995年にアメリカのエルンスト・クリス賞を受賞し、1997年にはフランスからバスク賞を受賞、さらには2000年にカナダでファーザー・ラーベン賞を受けるなど、その功績は国際的にも評価されています。また、2002年には世界精神医学会から金賞と生涯功績賞を与えられました。

学会活動

彼は日本学術会議の会員を務め、国際表現療法学会の元会長、世界表現病理・芸術療法学会の元副会長、日本芸術療法学会の理事、さらには日本箱庭療法学会の元理事長や日本遊戯療法学会の会長としても活躍しています。

著作

山中の著作には、精神療法や芸術療法、子どもたちに関する書籍が多く、特に『少年期の心』はその代表作です。他にも「親子関係と子どものつまずき」や「心理臨床と表現療法」など、多彩なテーマにわたる著作を数多く残しています。

結論

山中康裕は、精神医学、臨床心理学及び芸術療法の分野での先駆者としての地位を築きあげ、多くの研究や実践を通じて療法の理解と普及に貢献し続けています。その活動は日本国内外で大きな影響を与えており、今後もその成果に期待が寄せられています。

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