山梨県立図書館

山梨県立図書館：歴史と文化を継承する知識の殿堂

山梨県立図書館は、山梨県甲府市に位置する、長い歴史を持つ県立図書館です。1900年（明治33年）に山梨県教育会付属図書館として開館して以来、県民の学習と文化の発展に貢献してきました。

創設から現代まで：幾多の変遷

当初は県教育会付属図書館としてスタートした山梨県立図書館は、1930年（昭和5年）に実業家・根津嘉一郎氏の寄付により新館が建設され、県庁舎構内に移転しました。翌年には山梨県立図書館と改称され、県が運営する図書館となりました。第二次世界大戦中の甲府空襲では被害を免れましたが、戦後にはGHQにより接収され、蔵書は一時的に県会議事堂地下や甲府工業学校武道場などに保管されました。その後、1950年（昭和25年）に接収解除となり、図書館としての活動を再開しました。

1970年（昭和45年）には、新たな図書館建築の設計で知られる鬼頭梓氏の設計による近代的な建物に移転しました。しかし、2000年代に入り老朽化や蔵書増加に伴い、新たな施設の必要性が浮上しました。2012年、旧図書館は閉館、解体され、跡地は甲府信用金庫の本店となりました。

同年11月、現在の地上3階建て（一部4階建て）、地下1階建ての新しい図書館が開館しました。延床面積は旧図書館の2倍以上となる10,452㎡と、広々とした空間が確保されています。館内には閲覧コーナー以外にも、多目的ホールやカフェなどが設置され、地域住民にとってより魅力的な空間となっています。作家の阿刀田高氏が初代館長に就任し、その後は金田一秀穂氏が館長、阿刀田氏が名誉館長を務めました。

貴重なコレクション：甲州文庫とその他の資料

山梨県立図書館は、数々の貴重なコレクションを所蔵しています。特に有名なのは、戦前から収集されてきた郷土資料を集成した「甲州文庫」です。このコレクションは、山梨県の歴史や文化を深く理解する上で欠かせない重要な資料群です。

甲州文庫の形成には、明治後期から大正期にかけて高まった郷土への関心、そして『山梨県志』編纂事業が大きく関わっています。若尾謹之助氏を始めとする多くの関係者による努力、関東大震災や昭和初期の混乱といった時代背景、功刀亀内氏や萩原頼平氏らの貢献を経て、甲州文庫は今日の規模にまで発展しました。近世・近現代を中心とした文献、行政文書、古記録、民具、生活資料など、多様な資料が収蔵されています。

その他にも、昭和初期の名弁士・梅村紫声氏が収集した映画関係資料「梅村紫声文庫」、江戸時代の学問所「徽典館」の資料を中心とした漢籍・国書コレクション、萩野浩氏寄贈の世界各地の絵本コレクションなど、多様な分野にわたる貴重な資料が保管されています。

現在、甲州文庫は山梨県立博物館に移管されていますが、そのデジタル化が進み、博物館と県立図書館で閲覧可能です。

多様なサービス：地域社会への貢献

山梨県立図書館は、蔵書閲覧や貸出サービスに加え、多様なサービスを提供することで地域社会に貢献しています。図書館法に基づき、視聴覚資料の整備、移動図書館、地域読書会、他図書館との連携事業、僻地小学校への貸出など、利用者のニーズに応じたサービス展開を行っています。

館内には、閲覧席、サイレントルーム、パソコン席、視聴覚ブース、電子書籍端末なども設置され、快適な学習環境が提供されています。また、レファレンスサービス、複写サービス、マイクロフィルム閲覧サービスなども利用可能です。

アクセス

JR甲府駅から徒歩3分というアクセス抜群の立地も、この図書館の魅力の一つです。

まとめ

山梨県立図書館は、長い歴史と豊富なコレクション、そして充実したサービスを誇る、地域社会にとってなくてはならない存在です。これからも、県民の学習と文化の発展に貢献し続けることでしょう。

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