岡崎信用金庫資料館

岡崎信用金庫資料館の紹介

愛知県岡崎市に位置する岡崎信用金庫資料館は、地域の歴史と文化を物語る貴重な施設です。この資料館は、1917年に岡崎銀行本店として建立され、50年代には商工会議所として利用されていましたが、1982年に現在の形態で開館しました。

1. 歴史的背景

岡崎信用金庫資料館の起源を辿ると、1890年に設立された岡崎銀行にさかのぼります。この銀行は1945年に東海銀行と合併し、現在の三菱UFJ銀行となりますが、その本店は1917年に伝馬通に移転されます。設計は鈴木禎次が手掛け、彼は大正時代に活躍した著名な建築家で、名古屋中心の様々な建物を手がけました。この建物は赤煉瓦と御影石を使用したルネサンス様式で、重厚感のある外観が特徴です。

第二次世界大戦中の1945年7月、岡崎市は空襲に遭い、岡崎銀行の本店も大きな被害を受けましたが、その後1950年に岡崎商工会議所がこの建物を買い取り、改修の上、経済活動の拠点として利用されました。

2. 資料館としての再生

1976年に商工会議所が新しい施設に移転した後、この旧館は取り壊される危機にさらされていました。しかし、岡崎信用金庫の会長である服部敏郎氏の尽力により、岡崎市民の声を受けて建物が買い取られ、資料館として再生されることになりました。手厚い補強工事が施された後、1982年11月2日に岡崎信用金庫資料館として開館しました。この資料館の設立は、岡崎信用金庫設立55周年を記念した事業でもあります。

開館当初の館長には柴田経三氏が任命され、その後、1983年には日本建築学会から「全国の建物2000棟」の中に選定されるなど、高い評価を得ています。また、1990年には岡崎市の「岡崎市都市景観環境賞」を受賞し、2008年には国の登録有形文化財にも登録されました。そして、2017年には岡崎市の景観重要建造物に指定されています。

3. 建築様式と特徴

資料館の建物は、ルネサンス様式を基に設計されており、外部は御影石と煉瓦の組み合わせで構成されています。地上2階建てで、一部に3階建ての部分もあります。建物の東側には尖塔屋根があり、西側はネオ・ルネサンス式の箱型の屋根が特徴です。

資料館内では、過去の金融や経済に関する貴重な資料が展示されており、訪れる人々に地域の歴史を伝えています。2014年には、愛知登文会による特別公開イベントで、県内の登録有形文化財の一つとして注目を集めました。

このように、岡崎信用金庫資料館は、歴史的な建築物としての価値だけでなく、地域の金融・経済の歴史を伝える重要な空間となっています。

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