岡嶋二人

岡嶋 二人について

岡嶋二人（おかじま ふたり）は、日本の推理作家コンビで、井上泉と徳山諄一の二人によるペンネームです。名前の由来は「おかしな二人」であり、彼らは共同で執筆活動を行い、多くの人気作品を生み出しました。代表作には『そして扉が閉ざされた』や『99%の誘拐』、そして『クラインの壺』があり、その作品はいずれも高い評価を受けています。

略歴

二人は1975年にコンビを結成し、翌年から江戸川乱歩賞への応募を始めました。1982年には『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞し、彼らのデビュー作となりました。その後、1985年には『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞長編賞を受賞します。また、1988年に発表した『99%の誘拐』は、大きな話題となり、2005年には「この文庫本がすごい!」で1位に選ばれました。

しかし、彼らの活動は一筋縄ではいきませんでした。コンビは1989年に『クラインの壺』を最後に解消し、その後井上泉は「井上夢人」のペンネームで活動を続け、徳山諄一は後に「田奈純一」に改名しました。

作品スタイル

岡嶋二人の作品には、一つのテーマに対する二人の個性が見事に反映されています。初期の作品では特に競馬を題材にしたものが多かったとされ、徳山がスポーツの知識を持ち、井上が映像やパソコンに関する知識を生かしているとのことです。特に井上は、初期のパーソナルコンピュータが「マイコン」と呼ばれていた時期からのコンピュータ愛好家であり、独自の視点で物語を紡いできました。

彼らの文体は、軽快で抑制の効いた表現が特徴であり、ユーモアを交えた作品も少なくありません。特にクイズをテーマにした『ちょっと探偵してみませんか』は、ミステリー要素を活かした高水準の読み物として親しまれています。彼らの作品は、誘拐をテーマにしたものが多く、「人さらいの岡嶋」や「誘拐の岡嶋」と称されることもあります。

創作の背景

岡嶋二人の作品は、一般的なミステリのスタイルからは若干外れており、シリーズキャラクターや定型的な殺人事件を扱うことは少ないとされます。彼らの作品の中には、小数の例外を除き、シリーズとして展開せず、独立した作品として完成しています。そのスタイルは、コンビ解消後の井上夢人にも引き継がれることとなり、独自の個性を持った作家として活躍を続けています。

最後の活動と影響

2021年には、徳山諄一が亡くなり、その後井上夢人がTwitterを通じて報告を行いました。岡嶋二人の創作スタンスや作品の影響は日本の推理小説界に大きな影響を与えており、彼らの作品は今もなお多くの読者に愛されています。

作品リスト

• - 長編小説: 『焦茶色のパステル』, 『99%の誘拐』, 『クラインの壺』など。
• - 短編集: 『記録された殺人』, 『ダブル・プロット』など。

彼らの伝えるミステリーの世界は、競馬やスポーツ、さらにはコンピュータ関連の知識をも取り入れたユニークなものであり、その影響力は今も色濃く残っています。彼らが築いた文学的遺産は、今後も多くのミステリーファンによって受け継がれていくことでしょう。

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