岡部元信

岡部 元信

岡部元信（おかべ もとのぶ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した著名な武将であり、今川家及びその後の甲斐武田家の家臣として知られています。通称の五郎兵衛と、受領名の丹波守を持つ彼の名は、元信の他に長教、真幸、元綱と呼ばれることもありました。岡部家は静岡県藤枝市岡部町出身で、武士の家柄として名を馳せていました。

素性と背景

岡部元信の父親は岡部親綱であり、彼自身も今川義元の家臣として、その力量を発揮しました。今川氏の重臣であった父の影響を受けて、元信は早くから戦場での経験を積んでいます。兄弟も少なくとも二名いたとされますが、岡部家の系図には複雑な証拠が多く、正確な関係性が不明な部分もあります。

彼は、安土桃山時代に名を残す存在となり、その活動は今川家の運命とも深く関わっていました。特に、彼は今川家の戦いや政治において大きな役割を果たし、遠江や三河の平定に尽力した武将の一人です。天文17年（1548年）の第2次小豆坂の戦いでは、自ら筋馬鎧を身に着け、驚異的な勇気で戦ったことで、戦功を挙げました。

今川家への忠誠

岡部元信は、父親の岡部親綱が今川義元の家督を支えたこともあり、今川家に忠誠を誓います。彼は、桶狭間の戦いにおいてもその忠義を示しました。永禄3年（1560年）のこの戦いで、主君である今川義元が織田信長に討たれた後も、元信は抵抗を続け、織田軍に対して執拗な戦闘を繰り広げました。主君の首と引き換えに開城を申し入れたことで、信長からその忠誠を評価されることとなります。このように、彼は常に忠義を重んじて行動しました。

武田家への転身

しかし、今川家の崩壊とともに、元信は甲斐の武田信玄のもとに身を寄せました。この際、彼は信玄から「信」の偏諱を受けるなど、関係を深めていきます。武田家に仕官した後も、元信はさまざまな戦で活躍し、駿河先方衆の一員としてその地位を固めていきました。

最後の戦い

天正8年（1580年）には、岡部元信が城主を務める高天神城が徳川家康の攻撃を受けました。彼は後詰を求めましたが、武田信玄からの支援は届かず、元信はどうしても皆を守り抜く決意を固めました。彼は饗宴を開き、最後の訣別を交わした後、城を出て徳川軍に突撃しました。悲劇的にもこの戦で彼は戦死し、高天神城の城兵と共に731名が討ち死にしました。

岡部元信の生涯は忠義と戦の証言で溢れており、彼の名は後の世代にまで語り継がれることとなります。彼が登場する文献や映像作品も多く、日本の戦国時代を理解する上で欠かせない存在であることは間違いありません。

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