岩出山城

岩出山城：伊達政宗ゆかりの歴史と、現在に残る城跡

岩出山城は、宮城県大崎市に位置する歴史深い城です。伊達政宗が仙台城を築くまでの12年間、居城として使用されたことから、その歴史的意義は非常に大きいです。古くは「岩手沢城」と呼ばれ、足利氏一門である大崎氏の家臣、氏家氏の居城でした。

天正18年（1590年）、豊臣秀吉による奥州仕置が行われ、葛西・大崎領は木村吉清・清久父子の領地となりました。しかし、検地や刀狩りへの反発から葛西大崎一揆が発生。この一揆への関与が疑われた伊達政宗は、秀吉から無罪とされましたが、翌天正19年（1591年）に米沢から葛西・大崎旧領へと移封されることになります。

移封に先立ち、奥州の検地を行っていた徳川家康が岩手沢城に約40日間滞在。その間に城の縄張りや改修・修築を行い、伊達政宗へと引き渡しました。この際に城の名前が「岩手沢城」から「岩出山城」へと改められたと伝えられています。

岩出山城は伊達政宗の居城となり、彼はこの地で「大崎少将」を名乗りました。しかし、奥州の交通の要衝である奥大道から外れていた岩出山城は、慶長5年（1601年）、政宗が仙台城を築くと、居城としての役割を終えます。その後、岩出山城は政宗の四男である宗泰を初代とする岩出山伊達家の居城となり、明治維新までその役割を担い続けました。

現在、岩出山城跡は城山公園として整備されています。公園内には、仙台藩の藩校の一つであった有備館が現存しており、その建物は現存する最古の藩校として貴重な史跡となっています。有備館と庭園は共に史跡に指定されています。城跡には、曲輪跡の平坦地や土塁、大空堀、堀切、石垣を伴う虎口などの遺構が残されています。ただし、公園として整備され過ぎている面もあり、城跡としての説明板などの整備は不十分な点も残されています。

また、城山公園内には伊達政宗のコンクリート像（平和像）が設置されています。これは、第二次世界大戦中の金属類回収令で失われた仙台城跡にあった銅像を移設したもので、1962年に現在の場所に設置されました。仙台城の騎馬像とは異なり、起立した姿で表現されています。

岩出山城へのアクセスは、JR陸羽東線岩出山駅または有備館駅から徒歩約15分、東北自動車道古川ICから車で約20分です。歴史と自然に触れられる貴重な場所として、多くの人々に親しまれています。現在も、岩出山城跡は宮城県岩出山高等学校や大崎市立岩出山小学校として利用されています。

岩出山城は、伊達政宗の生涯や仙台藩の歴史を知る上で重要な拠点であり、日本の城郭史においても貴重な存在です。歴史的遺産としての保全と、観光資源としての活用が期待されています。

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