岩惣

みやじまの宿 岩惣

広島県廿日市市にある「みやじまの宿 岩惣」は、世界遺産に指定された厳島の中でも特に歴史と風情を兼ね備えた旅館です。本旅館は、厳島神社から徒歩わずか3分の距離に位置し、その周囲には厳島弥山の原始林と紅葉谷公園を望む落ち着いた環境に恵まれています。

施設の概要

「岩惣」は、本館・新館と5つの離れから構成されており、それぞれが異なる魅力を持っています。旅館の客室はすべて和室で、料理には広島の新鮮な山と海の幸を豊富に取り入れた懐石料理が提供されます。

本館

本館は紅葉橋のたもとに位置する木造の2階建ての建物で、1882年（明治25年）に壮大に建築され、1981年に改修が行われました。客室は5室あり、本館には風呂がないため、新館の温泉を利用することが求められます。

新館

新館は、厳島の美しい紅葉谷の景色を見渡せる5階建ての建物で、客室は29室用意されています。全室にはバスと洋式トイレが付いており、車椅子でのアクセスも可能です。130名を収容可能な宴会場「管弦」も設置されています。また、地階には「若宮温泉」と名付けられた温泉があり、浅い泉質でゆったりと入浴でき、時折、露天風呂からは宮島の鹿を見ることもできます。

離れ

本館の奥には、独特の佇まいを持つ5つの離れがあります。主な離れには以下のものがあります：

• - 錦楓亭：1951年に竣工し、紅葉谷に自然に馴染んでいる。
• - 秋錦亭：1928年に竣工し、内風呂完備。
• - 龍門亭：1924年に浅野長勲に命名された。
• - 洗心亭：1950年に即中斎が名づけた内風呂付きの離れ。

また、1933年に竣工した「錫福館」は貴賓室として使用されています。

歴史

「岩惣」の歴史は古く、初代の岩国屋惣兵衛が1854年にこの地に茶店を開業したことに始まります。彼は、厳島神社で行われる管絃祭に合わせて観光客を受け入れるために、周辺の開拓を広島藩宮島奉行所に願い出て、紅葉谷公園の基礎を築きました。

明治時代初期に入ると、「岩惣」は旅館として運営を開始し、その後、多くの有名人が宿泊する歴史を有しています。有名な逸話には、伊藤博文がこの旅館で運営していたお茶屋でまんじゅうを食べた際に、「紅葉のような手だ」と褒めちぎり、その手からインスピレーションを受けた女将がもみじ饅頭を考案したというものがあります。

また、旅館は大正時代から昭和初期にかけて多くの建物を追加し、現在もその面影を残しています。特に、枕崎台風による被災後の復興や昭和天皇の宿泊、さらにはG7サミットなどへの協力も行い、地域に貢献してきました。近年、2002年には良質の温泉が発見され、現在も温泉として多くの宿泊客に愛されています。

アクセス

「みやじまの宿 岩惣」は、宮島桟橋から徒歩で約15分の距離に位置しています。厳島神社へのアクセスも良好で、観光に便利な立地となっています。

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