崇道天皇社

崇道天皇社について

崇道天皇社（すどうてんのうしゃ）は、奈良県奈良市西紀寺町に所在する神社です。この神社はかつては村社として指定されており、神饌や幣帛料の供進を行っていました。また、紀寺天王という別名も持ち、かつては璉珹寺（紀寺）の鎮守としても知られていました。神社は同寺の東北に位置し、南都二大御霊社の一つとされる御霊神社と連携しています。

歴史

この神社の起源は平城天皇の大同元年（806年）に遡ると言われています。五條市の藤井家に伝わる文書には、1458年に記された「霊安寺御霊大明神略縁起私記」があり、ここでは「奈良の南里の紀寺の天王」は崇道天皇に由来することが記されています。怨霊を鎮めるため祀られた御霊神社の一つであり、また南都八所御霊の一座として、御霊会も行われています。さらに「大乗院寺社雑事記」の1468年の記録には、この社が春日大社の末社であること、そしてその本地が弥勒菩薩であることが述べられています。

境内

崇道天皇社の本殿は国の重要文化財に指定されており、桃山時代に創建された春日若宮本殿が元和9年（1623年）に移転したものです。現在の本殿は南向きに配置されていますが、1875年（明治8年）までは鳥居をくぐった際に西向きでした。境内には祓戸社、天満宮、稲荷社の3つの境内社が存在しています。当初は春日社も独立して祀られていましたが、現在は祓戸社と共に相殿になっています。

神楽殿は1855年に再興され、斎館は1940年に竣工しました。神輿庫には1717年頃に修理された古い神輿が保存されており、秋祭礼の際に使用されます。広さ約1520平方メートルの境内には、春日見の腰掛石や多くの巨木が残されており、訪れる人々に歴史的な雰囲気を味わわせています。

祭神

崇道天皇社の祭神である早良親王は、天応元年（781年）に皇太子に任命されましたが、藤原種継の暗殺事件に関わったとの疑いから、延暦4年（785年）に廃嫡されてしまいます。彼は淡路国に流罪となり、49歳でこの地で命を落としました。その後、怨霊を鎮めるために崇道天皇の諡号が贈られ、御骨は大和国八島陵に改葬されたとされています。また、崇道天皇社でも祭神として祀られています。

境内社の詳細

• - 祓戸社: 説明として、瀬織津比売神や気吸戸主神、速開都比売神、速佐須良比売神が祀られています。
• - 天満宮: 菅原道真公が祀られていることから、学問や知恵を求める参拝者に人気です。
• - 稲荷社: 宇賀御魂神が祭られており、商売繁盛や五穀豊穣が祈念されています。

文化財

崇道天皇社には国指定の重要文化財である本殿があり、また寺宝として猿田彦面、猩々面、獅子頭面などの貴重な品々も伝わっています。

参考文献

この神社についての更なる情報は、以下の文献から得られます:

• - 池田源太、宮坂敏和、奈良県史編集委員会編『奈良県史 5 神社』名著出版、1989年。
• - 奈良市史編集審議会編『奈良市史 社寺編』吉川弘文館、1985年。
• - 『日本歴史地名大系. 第30巻 (奈良県の地名)』平凡社、1981年。

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