早良親王

早良親王について

早良親王（さわらしんのう）は、奈良時代に生きた皇族であり僧侶です。彼は光仁天皇の子で、高野新笠を母に持ちます。また、彼は桓武天皇と能登内親王の同母弟でもあります。早良親王は皇太子に任命されましたが、後に藤原種継の暗殺事件に関与したという理由で廃位となり、絶食の末に亡くなりました。死後、彼は崇道天皇として追諡されましたが、皇位を継承することはありませんでした。このため、歴代天皇の中には数えられていないのです。

経歴

前半生

早良親王は天智天皇の孫であり、白壁王と和新笠の間に生まれました。彼の生年は諸文献によれば天平勝宝2年（750年）頃とされています。彼は11歳で出家し、東大寺で僧侶としての生活を始めました。等定を師とし、後に大安寺東院に住まうようになります。そして、父である光仁天皇が即位した際には親王禅師と呼ばれるようになりました。大安寺において、彼は東大寺に深く関与し、良弁の後継者として高い地位を保ちました。

立太子

天応元年（781年）4月に、兄である桓武天皇が即位すると私は還俗し翌日に立太子されました。早良親王が立太子となった理由はいくつかの説がありますが、特に光仁天皇の意向や、桓武天皇が崇御する安殿親王が幼帝となる事態を避けるためと考えられています。また、早良親王は私生活において妃を迎えず子も持たず、このことが立太子の理由の一助となったのではないかとも言われています。

藤原種継暗殺事件

延暦4年（785年）9月、藤原種継が暗殺されるという事件が起こります。この事件の詳細は『続日本紀』に記載されていますが、早良親王の関与については言及されていません。ただし、『日本紀略』においては、早良親王に許しを得て暗殺が実行されたとの記録があります。その後、早良親王は幽閉され、絶食して亡くなりました。彼の死は、彼自身の選択か、あるいは何らかの加害行為によるものか、さまざまな説が唱えられています。特に、彼が餓死に追い込まれたという説もあり、その真相は不明です。

怨霊としての評価

早良親王は死後、怨霊として恐れられる存在となりました。桓武天皇は彼の死を報告し、安殿親王の皇太子任命を行いました。その後、早良親王に起因するさまざまな病や不幸が報告され、神祇官の卜占により神託が下されました。早良親王の怨念を鎮めるために、多くの儀式が執り行われ、最終的には崇道天皇としての称号を与えられました。

墓と祭祀

早良親王は最初淡路国に埋葬されましたが、その正確な位置は今も不明です。しかし、その後大和国に改葬され、現在の八嶋陵が彼の陵墓とされています。さらに、彼を祀る神社や祭礼は全国に広がり、特に東大寺では彼への感謝の意を示す儀式が行われています。宮内省により、彼の霊を鎮めるための法要も数多く行われ、彼の存在は現代に至るまで影響を及ぼしています。

早良親王の生涯は、奈良時代の政治的な陰謀や説情の中での苦悩と、それに伴う歴史的な意味を持っています。彼の存在は日本史において重要な位置を占め、今なお多くの人々に語り継がれています。

もう一度検索