川島叙清

川島叙清（かわしま のぶきよ）

川島叙清は、生没年不詳の江戸時代の浮世絵師です。京都を拠点に活動し、西川祐信の門下で絵画の技術を磨きました。彼は「信清」という別名も持ち、正徳から享保年間（1711年 - 1736年）にかけて、版本の挿絵を中心に数多くの作品を制作しました。

来歴

川島叙清は、西川祐信の弟子として知られています。西川祐信は、京都の絵師として著名であり、叙清もその影響を強く受けたとされています。叙清の作画期は、正徳から享保年間という比較的短い期間に限られていますが、その間に多様なジャンルの作品を手がけました。彼の作品は、当時の京都の文化や風俗を生き生きと描き出しており、当時の社会の様子を知る上で貴重な資料となっています。

主な作品

川島叙清の作品は、版本の挿絵が中心で、特に浮世草子や艶本などの分野で才能を発揮しました。以下に代表的な作品を挙げます。

1. 『商人軍配団』五巻：江島其磧（えじま きせき）作の浮世草子で、正徳2年（1712年）に刊行されました。この作品では、当時の商人の生活や社会的な側面が描かれています。

2. 『諸分床軍談』五巻：同じく江島其磧作の浮世草子で、正徳3年（1713年）に刊行されました。この作品は、当時の人々の間で広まっていた軍談を題材としており、叙清の絵は、物語の情景をより鮮やかに表現しています。

3. 『新橋姫物語』五冊：正徳4年（1714年）に刊行された浮世草子で、当時の恋愛模様や人間関係を描いています。この作品での叙清の挿絵は、登場人物の感情や物語の雰囲気を巧みに表現しています。

4. 『それそれ草』三冊：観桂散人乙州（かんけいさんじんおつしゅう）編による作品で、正徳5年（1715年）に刊行されました。この作品は、当時の文化や風俗を捉えた随筆的な内容であり、叙清の挿絵は、文章の内容を視覚的に補完する役割を果たしています。

5. 『遊色置時計』一冊：享保2年（1717年）に刊行された艶本です。艶本とは、性愛をテーマにした絵入りの本であり、叙清の描く官能的な人物描写が特徴です。

6. 『好色床秘密』（こうしょくとこひみつ）三冊：艶本であり、詳細な刊行年は不明です。この作品も、叙清の官能的な表現力が際立つ作品です。当時の社会における性に対する考え方や風俗を垣間見ることができます。

これらの作品から、川島叙清は浮世絵師としてだけでなく、当時の文化や風俗を記録する役割も担っていたことがわかります。彼の作品は、江戸時代の人々の生活や価値観を今に伝える貴重な資料です。

参考文献

* 日本浮世絵協会編『原色浮世絵大百科事典』（第3巻）、大修館書店、1982年

この文献は、川島叙清を含む浮世絵師に関する情報をまとめたものであり、彼の作品や生涯についてより深く理解するための手がかりとなります。

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