復調

復調：信号の再生技術

復調とは、電気通信において、送信時に変調された信号から元の情報を復元する重要な処理です。変調によって情報を乗せられた搬送波から、元の音声やデータ、画像といった情報を分離し、取り出す作業を指します。変調の逆操作にあたるため、両者は対義語として扱われます。

特に無線通信においては、復調は「検波」と呼ばれることも多く、この言葉は古くから使われています。歴史的には、電波の有無を検知する単純な検波から発展し、現在では様々な変調方式に対応した高度な復調技術が用いられています。例えば、モールス信号のような単純なオンオフ信号の検波は、復調の初期の形態と言えるでしょう。

復調の種類は、用いられる変調方式によって多岐に渡ります。主な方式には以下のものがあります。

包絡線検波: 振幅変調された信号の包絡線を検出して元の信号を復元する手法。比較的単純な構成で実現可能です。
二乗検波 (自乗検波): 信号を二乗することで、元の信号の振幅情報を取り出す手法。主に振幅変調信号の復調に使われます。
プロダクト検波: 搬送波と同じ周波数の信号と変調信号を乗算することで、元の信号を取り出す手法。高い精度が得られる一方、複雑な構成になります。
同期検波: 受信機側で生成した搬送波と変調信号を同期させて復調する手法。高い選択性と精度が特徴です。正確な同期が不可欠です。
遅延検波: 信号に時間遅延を与えて、元の信号を復元する手法。周波数変調などの復調に用いられます。
クアドラチャ検波: 二つの直交する搬送波を用いて、同時に二つの信号を復調する手法。効率的なデータ伝送を実現します。
パルスカウント検波: パルス信号の数を数えることで、元の情報を復元する手法。パルス符号変調（PCM）などに使われます。
スロープ検波: 周波数変調信号の周波数変化を検出して元の信号を復元する手法。FM放送の受信機などに使われます。
* レシオ検波: 二つの信号の振幅比から元の情報を復元する手法。特定のノイズ環境下での復調に有効です。

これらの復調方式は、それぞれ異なる特性を持ち、用途や変調方式に応じて最適な手法が選択されます。例えば、単純な振幅変調には包絡線検波が、より複雑な変調方式には同期検波などが用いられます。

復調は、英語ではdemodulationと表現され、ブロック図などで「DEM」や「DEMO」と略記されることがあります。これは、モデム（modem）という語の「dem」の部分の由来でもあります。モデムは、変調と復調の機能を備えた機器として広く使われています。

復調技術は、無線通信、情報通信、放送技術など、様々な分野で不可欠な技術であり、現代社会の情報インフラを支える基盤技術の一つです。今後、更なる高速化、高効率化、高信頼性化が求められ、その研究開発は継続して行われています。

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