悪石島

悪石島について

悪石島（あくせきじま）は、九州地方の鹿児島県に属する吐噶喇列[[島]]の一部として位置する島です。広さは7.49平方キロメートルで、周囲は12.64キロメートルに及びます。最寄りの鹿児島本港南埠頭からは、十島村営フェリー「フェリーとしま2」を利用して約11時間の航行で、島の「やすら浜港」に到着します。島の人口は約70人（2022年時点）で、35世帯が暮らしています。

地理と気候

悪石島の最高峰は御嶽（標高584メートル）で、周囲には亜熱帯性の植物であるガジュマル、アコウ、ビロウが生い茂っています。この島は、亜熱帯気候のため、温暖で湿気の多い気候が特徴です。島の緯度・経度は北緯29度27分、東経129度36分です。

地名の由来

「悪石」という名前の由来についてはさまざまな説がありますが、島内に石が多く崖から落ちる危険があることや、平家の残党が追手から隠れるためにあえて付けた名前とも伝えられています。

島の文化と歴史

悪石島には多くの神社や祠があり、伝統的な文化が息づいています。特に注目すべきは、「ボゼ」と呼ばれる仮面を被った神が登場する冬の行事で、悪石島の独特の風習として知名度があります。この行事は、旧暦の7月16日のお盆の終わりに行われ、島の盆踊りは鹿児島県の無形民俗文化財に指定されています。

在住者と訪問者の両方によって大切に守られている伝統文化には、1944年の「対馬丸」沈没事故に関連した慰霊碑も含まれています。事故では1,781名の乗客の中で1,418名が犠牲となり、今もその悲劇を忘れないために慰霊碑が建立されています。

島の産業

経済的には、畜産、農業、漁業が主要な産業を担っています。季節の農作物や新鮮な海の幸が住民たちの生活を支えています。島内には温泉もあるため、観光業も期待されており、「湯泊温泉」や海中温泉に訪れる外部の観光客も少なくありません。特に、湯泊温泉公園はキャンプ場に隣接して整備されています。

また、悪石島の地熱を利用した砂蒸し温泉も人気スポットです。これらの温泉は、観光客に癒しを提供すると同時に、島民にも親しまれている施設です。

自然災害と出来事

悪石島は自然環境も特徴的で、1976年には台風17号の影響で数件の民家が被害を受ける事例もありました。また、2009年には皆既日食が観測されるという貴重な機会があり、観光客が多数訪れましたが、悪天候のため多くの人々が直接的な観察はできませんでした。それでも、暗闇に包まれた独特の雰囲気を感じることができ、神秘的な体験となったようです。

最近では、2017年に簡易郵便局が設置され、住民の利便性が向上するなど、インフラの整備も進んでいます。悪石島はその独自の文化、温暖な気候、そして美しい自然に囲まれた、静かな暮らしを支える場所であり、今後の発展が期待されています。

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