悪魔のメリークリスマス

聖飢魔IIによるヘヴィメタル楽曲「悪魔のメリークリスマス」は、1996年、B.D.3年（西暦1996年）12月13日にリリースされたシングル「小教典」です。作詞はデーモン小暮閣下、作曲はルーク篁参謀、編曲は松崎雄一氏と、聖飢魔IIの主要メンバーが制作に携わっています。

この楽曲は、当初から「青春編」と名付けられたバージョンでリリースされました。しかし、この「青春編」には、ある制作上の苦悩が潜んでいました。それは、楽曲の長さです。7分という尺は、当時のシングルとしては異例に長く、レコード会社からは短縮するよう強い要請がありました。

具体的には、ギターソロまたは2番の歌詞をカットする案が提示されました。楽曲の構成上、ギターソロは重要な役割を担っていたため、ソロをカットすれば楽曲全体のバランスが崩れてしまいます。一方、2番の歌詞は、楽曲のテーマやメッセージ性をより深く伝える重要な要素でした。

この難しい選択に、作曲者であるルーク篁参謀は、楽曲のメッセージ性を重視し、2番の歌詞を残すことを強く主張しました。しかし、レコード会社側は「ギターソロがないと曲として不自然」という立場を崩さず、最終的には、ルーク参謀の主張の一部が受け入れられる形で、1番のみを収録した「青春編」がリリースされることとなりました。

この「青春編」は、後にリリースされたマキシシングル『20世紀狂詩曲』とアルバム『DEVIL BLESS YOU! 〜聖飢魔II FINAL WORKS〜』にも収録されています。しかし、これらの作品には、1番のみならず、当初の7分バージョンである「完結編」も収録されています。この「完結編」は、シングル版には収録されず、長らく幻のバージョンとして知られていました。

「悪魔のメリークリスマス」のシングルには、「青春編」の他に「Ass Hole!」という楽曲と「悪魔のメリークリスマス（オリジナルカラオケ）」が収録されています。「Ass Hole!」は、聖飢魔IIの楽曲の中でも特にヘヴィで攻撃的なサウンドが特徴的な曲として知られています。

このように、「悪魔のメリークリスマス」は、制作過程における様々な葛藤や選択、そしてその結果生まれた異なるバージョンが存在する、聖飢魔IIの代表的な楽曲の一つと言えるでしょう。その楽曲の持つ力強さと、複雑な歴史は、多くのファンを魅了し続けています。リリースから年月が経った現在もなお、この曲は聖飢魔IIの代表曲として、多くのリスナーに愛され続けています。楽曲の持つメッセージ性と、制作における困難を乗り越えた歴史は、音楽史における貴重なエピソードとして記憶されています。

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