情熱の風

情熱の風

概要

「情熱の風」（じょうねつのかぜ）は、日本のヴィジュアル系ロックバンド、La'cryma Christi（ラクリマ・クリスティ）が2002年2月26日に発表した、通算12枚目にあたるシングル作品です。

前作「Prism」からおよそ8ヶ月のインターバルを経てリリースされたこのシングルは、当時のバンドの活動において、商業的側面やメディアとの結びつきの点から、一つの節目を示す楽曲として位置づけられます。

楽曲とプロモーションビデオ

タイトルを冠する楽曲「情熱の風」は、疾走感がありながらもメロディアスな魅力を持つロックチューンです。この楽曲は、テレビ朝日系列で放送された人気サスペンスドラマシリーズ『京都迷宮案内』の第4シリーズ主題歌として採用されました。

テレビドラマの主題歌として広く知られることとなった本楽曲の世界観を視覚的に表現するため、プロモーションビデオ（PV）は特別な設定で制作されました。PVの撮影場所として選ばれたのは、歴史的建造物としても知られる豪華客船、氷川丸の船内です。

船という閉鎖的かつ豪華な空間を利用することで、楽曲の持つ情熱と、ドラマの持つサスペンスフルな雰囲気を融合させた映像作品が完成しました。ドラマタイアップという背景も影響し、PVは単にメンバーの演奏シーンやイメージカットを繋ぎ合わせたものではなく、明確なストーリーラインを持つストーリー仕立ての構成となっています。

カップリング曲

このシングルには、「情熱の風」に加え、カップリング曲として「Can't hold you in my dream」が収録されています。

「Can't hold you in my dream」は、バンドのギタリストであるHIROが作曲を手掛けた楽曲ですが、本人の弁によると、制作を進めるうちに当初想定していた方向性とは異なり、結果としてラテン音楽の要素が取り入れられた独特なサウンドに仕上がったとのことです。

また、この楽曲はボーカルのTAKAが作詞を担当しています。TAKAがシングルに収録されるカップリング曲の作詞と作曲の両方を手掛けたのは、バンドの代表曲の一つである「With-you」以来のことでした。

興味深い点として、「Can't hold you in my dream」は、シングルのリリースから長い時間が経過した現在に至るまで、La'cryma Christiのライブで一度も演奏された記録がない、いわゆる「ライブ未披露」の楽曲となっています。

セールスとバンドにおける位置づけ

「情熱の風」は、商業的な成績においても特筆すべき成果を上げました。

特に、リリース初週に記録した売り上げ枚数は、先行シングルである「Prism」の累計売り上げを上回るという好調な滑り出しを見せました。これは、著名なテレビドラマの主題歌という強力なタイアップ効果に加え、当時のバンドの人気や楽曲自体の訴求力の高さを証明するものと言えるでしょう。

このシングルは、オリコンチャートにおけるLa'cryma Christiのシングル作品で、1万枚を超える売り上げを記録した最後の作品となりました。この後にリリースされたシングルは、残念ながら売上枚数が1万枚を下回ることになります。したがって、「情熱の風」は、バンドのシングルセールスにおいて、一つの時代が区切られる重要な節目となった作品として、ファンや音楽業界関係者の間で記憶されています。

収録アルバム

タイトル曲「情熱の風」は、シングルリリース後に発表されたバンドの6枚目のオリジナルアルバム『&・U』（アンド・ユー）に収録されています。

アルバムにはシングルバージョンと同内容で収められました。一方、カップリング曲の「Can't hold you in my dream」は、『&・U』を含むLa'cryma Christiのどのオリジナルアルバムにも収録されておらず、このシングル盤でしか聴くことができない貴重な楽曲となっています。

もう一度検索