愚物語

概要

『愚物語』は、西尾維新による人気小説シリーズ〈物語〉シリーズの通巻19巻目にあたる作品です。講談社BOXレーベルより2015年10月に刊行されました。イラストはVOFANが担当しています。

本作は、本編シリーズ『終物語』の後の物語を描いた〈物語〉シリーズ・オフシーズンの第1弾です。これまでのシリーズで主人公だった阿良々木暦は登場せず、老倉育、神原駿河、阿良々木月火の3人の少女たちを主人公とした3つのエピソードが収録されています。

作者の西尾維新は、あとがきで本作を「3人の愚かな少女が主人公の物語集」と表現しています。パッケージイラストには、魔法少女のコスチュームを身に着けた斧乃木余接が描かれています。

発売から1週間で80110部を売り上げ、オリコンBOOK総合ランキングで1位を獲得しました。

あらすじ

そだちフィアスコ

高校3年生の11月、老倉育は、私立直江津高校から公立宍倉崎高校に転校します。心機一転、新しい友達を作ろうと意気込む彼女でしたが、自己紹介で失敗してしまいます。育は、過去のトラウマからコミュニケーションに苦手意識を持っており、それが原因で周囲との関係がうまくいきません。

するがボーンヘッド

高校3年生になった神原駿河は、沼地蠟花との戦いを終えた後、先輩の阿良々木暦と喧嘩をしてしまい、一人で部屋の片付けをすることになります。その際に、ゴミの中から干からびた左手のミイラを発見します。それは、かつて駿河に憑依した怪異「レイニー・デヴィル」の残骸でした。驚いた駿河は、偶然現れた忍野扇に声をかけられ、そのミイラを放り投げてしまいます。そのミイラが突き刺さった襖から、謎の手紙が現れ、駿河と扇はその謎を解き明かそうとします。

つきひアンドゥ

阿良々木月火の正体は、不死鳥の怪異「しでの鳥」です。斧乃木余接は、その監視のために阿良々木家に「等身大のぬいぐるみ」という設定で住んでいました。しかし、ある日アイスクリームを食べているところを月火に見られてしまいます。余接は動かないふりをしますが、月火は余接の正体を暴こうとします。ついにはサラダ油を余接にかけ、火をつけようとする月火。余接は咄嗟に魔法少女のふりをして、この場をやり過ごそうとします。

登場人物

老倉 育（おいくら そだち）
「そだちフィアスコ」の主人公。両親の離婚と母親の失踪を経験し、箱邊夫妻に引き取られました。阿良々木暦を激しく嫌っています。コミュニケーションが苦手で、人付き合いを避ける傾向があります。
箱邊夫妻（はこべふさい）
老倉育を引き取った老夫婦。温厚な性格で、育を優しく見守ります。
惣瀬 亜美子（ゆるがせ あみこ）
育が転校したクラスの生徒。姉御肌で、クラスの中で少し浮いた存在です。
珠洲林 リリ（すずばやし りり）
クラスのリーダー格の女子。面倒見が良く、部活を引退した後もOBとして顔を出します。
客藤 乃理香（きゃくふじ のりか）
クラスの女子。穏やかな性格で、周囲に安心感を与えます。
端村 勇平（はしむら ゆうへい）
クラスの男子。頼りになる存在として、クラスの中心人物です。
旗本 肖（はたもと あやかり）
不登校になっている生徒。謎めいた雰囲気を持つ人物です。
阿良々木 暦（あららぎ こよみ）
〈物語〉シリーズの主人公。本作には直接登場しませんが、作中で名前が言及されます。
神原 駿河 (かんばる するが)
直江津高校の三年生女子。過去に怪異「レイニー・デヴィル」に憑依された経験を持ちます。BL好きで、オタクな一面も持っています。
忍野 扇（おしの おうぎ）
直江津高校の二年生男子。謎めいた雰囲気を持っており、駿河の部屋にあった悪魔の左手に興味を持ちます。
臥遠 遠江（がえん とおえ）
神原駿河の母親。すでに故人ですが、作中では沼地蝋花の姿で登場します。
斧乃木 余接（おののき よつぎ）
阿良々木家に住む式神の童女。感情が乏しく、無表情で独特な口調が特徴です。
阿良々木 月火（あららぎ つきひ）
阿良々木家の次女。不死鳥の怪異「しでの鳥」であり、奇抜な行動で周囲を驚かせます。
千石 撫子（せんごく なでこ）
月火の友達。過去に蛇神の怪異でしたが、現在は普通の女の子に戻っています。

書籍情報

著者: 西尾維新
イラスト: VOFAN
出版社: 講談社
レーベル: 講談社BOX
発売日: 2015年10月6日
ISBN: 978-4-06-283889-4

アニメ情報

タイトル: 〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン
配信開始: 2024年7月
* 配信プラットフォーム: ABEMAほか

本作の「つきひアンドゥ」は、上記のアニメシリーズで映像化されました。

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