成就

成就について

成就（じょうじゅ、じょうじゅう）という言葉は、物事の成功や達成、願いが叶うことを表現する際に使用されます。かつては「じょうじゅう」とも発音され、様々な場面で使われています。特に大願成就や満願成就、悲願成就といった言い回しで多く見られます。

成就の歴史と仏教的意味

近年では恋愛成就や学業成就といった日常的な言葉として広く使われるようになりましたが、元々この言葉は仏教由来の専用用語でした。仏教における成就は、身に備わっている状態を意味し、その中には知恵や徳が完璧に整った様子が含まれます。

『倶舎論』には次のように記されています。「得」には二種類あり、一つは今得ようとするものを指し、これを「獲」と呼びます。そして、獲ることができた後にそれを維持し続ける状態が「成就」であるとされています。このように、成就は単なる達成の意味を越えて、完了と維持に関わる重要な概念でもあります。

また、「成就文」と呼ばれる経文は、阿弥陀仏が自身の本願を果たし、記された文章とされており、一切の衆生を救済し、仏としての境地に至らせる力は「成就衆生力」と名付けられています。この仏教的背景に基づき、成就を冠した寺院名が数多く存在するのも頷けます。

聖書における成就

成就という言葉は、多くの日本語訳聖書においても登場します。特にヘブライ語の「マーレー」やギリシア語の「ブレーロオー」の訳語として用いられ、「満ちる」や「満たす」という意味があります。例えば、「海生生物が海に満ちる」や「容器に油を満たす」、「喜びと聖霊に満たされる」といった表現が考えられます。

しかし、成就が訳される場合には、神からの約束や警告、預言が実現することを示す意味合いが強くなります。特に新約聖書においては、旧約聖書の預言がナザレのイエスにおいて実現したことを強調しています。これは成就が宗教的な約束を果たす重要な要素であることを示しています。

まとめ

成就については多くの側面があり、仏教においては智恵や徳の完璧さを指し、また聖書では神の言葉が実現することを意味します。この語は歴史的にも多様な文脈で使われてきました。

参考文献

• - 国民百科事典（平凡社）
• - 広辞苑
• - 広辞林
• - 『日本佛教語辞典』（岩本裕著、平凡社、1988年）ISBN 4582130011
• - 『日常佛教語』（岩本裕著、中央公論新社、1972年）ISBN 4121002881
• - 『例文仏教語大辞典』（石田瑞麿著、小学館、1997年）ISBN 4095081112

成就は、さまざまな場面で使用されるこの言葉の深い意味を理解する上で、仏教やキリスト教の教えを知ることが重要です。

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