成長曲線

成長曲線とは

成長曲線（せいちょうきょくせん）は、個体の身体的な発達を視覚化するためのグラフの一種です。この曲線では、横軸に年齢を、縦軸に身長や体重などの成長データを置き、発育の状況を示します。特に小児の発育に用いられ、成長障害（低身長や高身長）の診断に役立つ重要なツールです。また、身長だけでなく、体重やボディマス指数（BMI）、座高など、さまざまなデータを扱う成長曲線の作成が可能です。

基準曲線の描き方

成長曲線を描く方法には主に2つのアプローチがあります。それが、標準偏差曲線（SD曲線）とパーセンタイル曲線です。

標準偏差曲線

標準偏差曲線は、データが正規分布に従うと仮定して作成されます。この方法では、平均値を年齢ごとにプロットし、±1SD、±2SDに相当する曲線を含めた5本の曲線を描きます。これにより、95%の人が±2SDの範囲に収まるため、この範囲が医学的に正常とされます。計算しやすく、各データの評価が簡単という利点がありますが、正規分布に従わないデータにはこの方法は適用できないため、注意が必要です。

パーセンタイル曲線

対照的に、パーセンタイル曲線はデータの分布に関係なく、特定の値よりも小さい人数の割合を示す曲線です。通常、3%、10%、25%、50%、75%、90%、97%の7本を描くことで、各パーセントにおける身体指標を視覚化します。これにより、多様なデータに柔軟に対応できる点が魅力です。ただし、極端に高いまたは低い値については評価が難しいという欠点も抱えています。

日本における成長曲線

日本では、満5歳から17歳の幼児や児童について、文部科学省が毎年の学校保健統計調査を通して成長データを発表しています。生後14日から小学校就学前の乳幼児については、厚生労働省が10年ごとに調査を行い、そのデータを公開しています。これに基づいて、日本人の小児の体格を評価する基準値は定期的に更新され、2010年度に発表されたデータが最新のものとなっています。身長は主に標準偏差曲線で、体重はパーセンタイル曲線またはSD換算で表現されています。

成長障害の判定方法

成長曲線を用いて成長障害を判断するためには、いくつかの基準があります。
1. 値自体が基準域を外れている: 個々の成長データが－2SDから＋2SDの範囲を超えている場合や、3～97パーセンタイルの範囲を外れている場合。
2. 成長速度が基準を外れる: 年齢ごとの成長値の変化が基準を上回ったり下回ったりする場合（例えば、10歳時の値が＋1SDだったが、15歳時には－1SDになるなど）。

ただし、成長曲線を外れることが必ずしも健康上の問題を示すわけではなく、体質に起因する場合もあります。例えば思春期遅発症がその一例です。

参考文献

• - 低身長 日本小児内分泌学会: 0〜18歳の横断的標準身長・体重曲線（2000年度乳幼児身体発育調査学校保健統計調査）

このように、成長曲線は子どもの健康状態を把握するための強力なツールとして広く利用されています。

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