接骨院

接骨院についての概要

接骨院（せっこついん）は、柔道整復師が運営する施術所で、日本の伝統的な医学体系である柔道整復術を用いています。通常は「接骨院」と呼ばれ、法令では「柔道整復の施術所」と表現されています。一般的には「整骨院」や「ほねつぎ」とも呼ばれていますが、今後は「接骨院」という名称が統一される見込みです。

業務内容

接骨院では、打撲、捻挫、挫傷、脱臼、骨折といった様々な外的損傷に対して、外科手術や投薬に依存せずに「施術」を通して回復を図ります。ただし、骨折や脱臼の場合は医師の診察が必要です。医師による診察後、柔道整復師に施術の同意が提示されることが求められます。緊急時の応急処置については医師の同意は必要ないものの、その後の施術を行うためには医師の再診と同意が必要です。なお、施術の同意が書面でなくても、その旨が診療録に記載されている必要があります。接骨院での柔道整復師の業務は、急性期の新鮮な状態への施術に限定されており、これは平成16年に厚生労働省により示されています。

健康保険による療養費支給

1936年から接骨院における健康保険の給付が始まりましたが、医療機関とは異なり、その適用範囲は限られています。具体的には、保険が適用されるのは外傷性の骨折や脱臼、捻挫、打撲、挫傷に限られており、これらは急性または亜急性の状態に該当します。慢性的な状態や非外傷性の病気（肩こり、筋肉疲労、リウマチなど）については保険の対象外となります。また、交通事故による後遺症や長期にわたる改善の見られない状態も保険適用外です。

名称について

接骨院の正式名称は「施術所」であり、柔道整復師法または厚生労働省においては「接骨院」という名称は定義されていません。鍼灸や按摩との区別が求められる場合には「柔道整復の施術所」と表現されます。医療法により、接骨院は「病院」や「診療所」と紛らわしい名称を使用することが禁止されています。

接骨院の不正請求問題

近年、接骨院における健康保険の不正請求が問題視されています。健康保険の適用が厳格であり、柔道整復師が請求できるのは急性かつ非出血性の外傷性のみですが、実際には不正請求が多発しています。2010年の調査では、940人の患者の66%で請求内容に食い違いが発見され、50%以上のケースで架空の病名を付けた不正が行われていました。また、暴力団との結託による不正請求事件も発覚し、業界の信頼性が揺らいでいます。

施術管理者要件の設定

このような不正を防ぐために、2018年からは柔道整復師が保険請求を行うためには「施術管理者」としての要件を満たす必要があります。この認定には、1年以上の実務経験と特定の研修を受けることが義務付けられています。研修プログラムには職業倫理、適切な保険請求、施術所管理、安全な臨床が含まれます。

まとめ

接骨院は、日本の独特な医療プロセスの一環として大きな役割を果たしていますが、同時に不正請求の問題にも直面しています。厚生労働省の指導のもとで適切な管理や教育が進められ、信頼性の向上が図られています。

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