撞球室

撞球室の概要

撞球室（どうきゅうしつ）は、ビリヤードを楽しむための専用の部屋であり、主に邸宅や娯楽施設に設置されます。英語では「ビリヤード・ルーム」や「プール・ルーム」、「スヌーカー・ルーム」といった異なる呼称があります。一般的には、撞球台を公共に提供する施設では「撞球場」という用語が用いられます。

この部屋は、邸宅内の公共空間の中心に位置する場合もあれば、私的な空間に設けられることもあります。撞球室には理想的な照明と、ゲームを行うために十分な広さが求められます。特に、撞球台の周囲には少なくとも5フィートのスペースを確保することが望ましいとされています。また、狭い場所でも使用できるように設計されたキューも発売されています。インテリアデザイナーのシャーロット・モスは、撞球室を「集団力学の象徴」と考え、競技と飲酒が交わる社交の場であると述べています。

撞球室の歴史

ビリヤードの起源は、14世紀末から15世紀初頭にさかのぼり、競技者たちが芝生の上でボールを突くゲームに由来するとされています。「プール」という言葉が室内の台上のゲームを指すようになったのは、1470年のフランス国王ルイ11世の資産目録にその例が見られます。

18世紀には、撞球室はパリなどの有名なカフェに併設され、社交の場として楽しまれるようになりました。この時期、ビリヤードは男女問わず人気でしたが、19世紀のイギリスでは、特に男性専用の空間として撞球室が発展を遂げました。男性専用のスイートには喫煙室や図書室が併設されることが多く、ハリファクス近郊のキャッスル・カーのような例が存在します。

19世紀から20世紀にかけて、撞球室はイギリスの大邸宅において標準的な設備として設けられるようになり、雑誌『House Beautiful』でも「現代のイギリスの邸宅には撞球室が設置されている」と紹介されていました。この時期、多くの撞球室は東洋風やムーア風のデザインが施されており、マーク・トウェインのコネチカット州ハートフォードの屋敷には、そのムーア風のスタイルを模した装飾が見られました。

このように、撞球室はただの遊びの場を越え、社交の場としても重要な役割を果たしてきました。19世紀末から20世紀初頭にかけて、撞球室はその最盛期を迎え、社会の文化的な交流の一部として多くの人々に楽しまれていました。

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