斎宮歴史博物館

斎宮歴史博物館

斎宮歴史博物館は、三重県多気郡明和町竹川にある斎宮跡に建てられた三重県立の歴史博物館です。単なる博物館としてだけでなく、埋蔵文化財センターとしての機能も兼ね備えています。

開館までの経緯

斎宮は、伊勢斎王の執務を行った場所でしたが、南北朝時代以降に荒廃し、その所在地も不明となっていました。しかし、1970年頃からの宅地造成に伴い、明和町古里地区で遺跡の存在が明らかになり、1979年に国の史跡に指定されました。

これを受けて三重県は斎宮跡発掘調査事務所を開設し、本格的な発掘調査と保存を開始しました。1983年には史跡公園「斎宮跡」が開園し、1985年には斎宮跡に県立博物館を設置する構想が立ち上がりました。博物館予定地自体が遺跡であるため、慎重な発掘調査を経て、1988年1月に着工、1989年4月に業務を開始し、10月に開館に至りました。

施設

敷地面積は18,000平方メートル、展示館建築面積は4,537平方メートル（延床面積5,077平方メートル）です。建物は鉄筋コンクリート造（一部現場緊張PC造）の1階建て（一部2階建て）で、以下の施設があります。

展示施設

常設展示室I: 「文字からわかる斎宮」をテーマに、文献史料、葱華輦、群行模型、斎王居室復元模型、斎宮に関係する古典文学などを展示しています。
常設展示室II: 「ものからわかる斎宮」をテーマに、考古資料（斎宮の成立と整備、隆盛と繁栄、衰退と消滅の3期に区分して展示）と模型（内院の柵列を再現した実物大復元模型、内院地区の調査経過をまとめた映像と連動した20分の1の発掘調査区模型、床面に設置した斎宮跡全体の陶板航空写真と組み合わせた400分の1の斎宮寮復元模型）を展示しています。
映像展示室: 『斎王群行』『斎宮を歩く』『今よみがえる幻の宮』をハイビジョン上映しています。
展示ホール: 特別展示室として利用されます。

収蔵施設

収蔵庫(1) (2)
特別収蔵庫
荷解室

教育普及施設

講堂: 128席。記念講演会、歴史講座、古典講座などが開催されます。
図書ホール: 斎宮に関する研究文献・発掘調査報告書類、県内の発掘調査報告書、歴史参考書や辞典、子供向け歴史図書などが閲覧できます。図書ホールの利用は無料です。
調整室

研究施設

研究室(1) (2) (3)
研修室
図書室
資料室
整理室
保存科学室(1) (2)
写真室

その他

喫茶室など

所蔵品

絵画、工芸品、書跡・典籍、考古資料など、斎宮に関する貴重な資料を多数所蔵しています。特に、伊勢物語や源氏物語に関連する資料が豊富で、斎宮御所の文化サロン的な雰囲気を偲ばせます。

絵画: 伊勢物語、源氏物語、三十六歌仙の絵巻、屏風、古地図など。
工芸・彫刻: 御殿雛、文箱、硯箱、茶箱、貝合など。
書跡・典籍: 伊勢神道関連、文芸（伊勢物語、大和物語）、歴史（六国史版本）など。
考古資料: 三重県斎宮跡出土品（重要文化財）として、磁器、陶器、土器、土製品、木製品、石製品、金属製品などが含まれます。

他研究機関・教育機関との連携

IPA情報処理推進機構に対して、所蔵品による教育用画像素材を提供しています。また、県立図書館、県総合博物館、県立美術館、県生涯学習センターと共に、三重県生活・文化部文化振興室と三重県教育委員会によって生涯学習・社会教育施設としての運用が規定されています。

観光資源としての役割

国土交通省が推進する「日本風景街道」プロジェクトにおいて、『伊勢街道』の構成施設となっています。また、1999年に開館した『いつきのみや歴史体験館』と連携して、斎宮遺跡のテーマパーク的展開を進めています。

交通アクセス

近鉄山田線斎宮駅下車徒歩15分
伊勢自動車道 玉城ICから約20分、または松阪ICから三重県道37号鳥羽松阪線経由で約40分

斎宮歴史博物館は、斎宮の歴史と文化に触れることができる貴重な場所です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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