三十六歌仙

三十六歌仙（さんじゅうろっかせん）

三十六歌仙は、平安時代の著名な和歌の名人36人を集めた名称であり、主に藤原公任の著作『三十六人撰』にその名が見られます。この36人の歌人たちの作品は、和歌の歴史において特別な位置を占めており、後世に多大な影響を与えました。現存する三十六歌仙に関する最古の写本は「西本願寺本三十六人家集」で、これが歌仙にまつわる貴重な資料として知られています。

構成と背景

三十六歌仙は、歌の形式である「歌仙」にも関連づけられています。歌仙とは、連句のスタイルで36句の作品を指し、この名称は三十六歌仙に由来しています。この伝統は、平安時代に確立され、その後「中古三十六歌仙」や「女房三十六歌仙」といった派生作品も誕生しました。

成立の過程

三十六歌仙の形成は、平安時代に遡ります。『三十六人歌仙伝』や『袋草紙』、さらに『後拾遺抄注』といった古典文献を基に、歌人たちの研究が行われてきました。具体的には、寛弘5年（1008年）に藤原公任が編纂した前十五番歌合がその起源と言われています。この時、建を貫之と人麻呂の左側に配置し、両者の優劣を巡る論争が起こりました。結果的に、人麻呂が勝利を収め、公任はその結果を基に三十人撰を編纂します。その後、具平親王がこの作品を改訂したことで、最終的に三十六歌仙が成立したと考えられています。この過程で、元の三十人から七人が追加され、清原深養父が外されたことで最終的な36人が確定しました。

三十六歌仙扁額

三十六歌仙に関連する文化財として、三重県伊賀市にある敢國神社には、三十六歌仙を描いた扁額があります。この扁額は、桃山時代末期に作成されたもので、特に保存状態が良好であることから文化財として指定されています。記録によれば、慶長14年（1609年）に近衛信基が和歌を記し、神社に奉納したとされています。この扁額は元々36面を必要とするところが、敢國神社に伝わるものは3面1組の12面構成となっています。これにより、三十六歌仙の作品がどのようにまとめられているかを知る手掛かりとなっています。

影響と関連書籍

三十六歌仙は、日本の古典文学の中でも特に重要な位置を占め、様々な文学作品や美術作品に影響を与えています。このテーマに関連する研究や解釈文献も多く存在し、千勝義重の『三十六歌仙集評釈』や、風俗絵巻図画刊行会による作品群などがその一部です。さらに、三十六歌仙に基づいた絵巻や絵画も多数存在し、これらは美術館での展示や研究の材料として活用されています。

結論

三十六歌仙は、平安時代の文化を色濃く反映しており、日本文学の歴史において重要な役割を果たしています。歌人たちの業績は、今なお後世の文学に影響を与えつづけており、これらの作品は日本の伝統文化を理解する上での貴重な資料となっています。

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