日出処

アルバム『日出処』について

『日出処』（英題：Sunny）は、椎名林檎によって2014年11月5日にリリースされた5枚目のスタジオアルバムです。本作は、椎名名義としては約5年半ぶりのオリジナルアルバムで、元々在籍していた東京事変が解散して以来の新作でもあります。

本作の収録内容は、2009年から2014年にかけて発表されたシングル表題曲6曲と、アルバムのために新たに書き下ろされた楽曲7曲を含む計13曲です。リリース形態としては、初回限定盤A（CD+Blu-ray）、初回限定盤B（CD+DVD）、通常盤（CDのみ）の3種類が用意されており、初回限定盤には特典映像が付属しています。また、これまでのアルバムとは異なり、本作からはハイレゾ音源の配信も実施されています。

タイトルの意味と由来

アルバムタイトル『日出処』は、椎名が抱いていた「王道のことを大切にしたい」という気持ちに基づき名付けられました。彼女は近年、自らの歌詞に「陽の光」というコンセプトを取り入れるようになり、このアルバムではそのテーマをさらに深めて表現したいと考えた結果、タイトルが生まれました。彼女は、他のアルバムとの違いを意識しながら、日常の明るいシーンと裏側にある現実を一緒に描く意図があると語っています。このタイトルは単に「日本」を指すのではなく、「陽の光」に焦点を当てたもので、彼女自身が自信を持って選んだものです。

制作背景

本作の制作は、椎名のアリーナツアー『林檎博'14 ー年女の逆襲ー』を発表後に始まりました。制作においては、楽器の特性やアレンジを大切にし、曲全体の流れや転調に重点を置いています。特に、各楽曲の繋がりや演奏におけるテンポ感を意識したと椎名は述べています。

また、制作には長年のコラボレーターである斎藤ネコや村田陽一など、音楽シーンで重要なアーティストたちが参加しており、アルバムのクオリティを高めています。

プロモーションと先行配信

アルバムの発売に先立ち、『ありきたりな女』が10月1日から先行配信され、その後も他の楽曲が随時リリースされました。特に、YouTubeでは視聴用動画やコメンタリー映像が公開され、ファンとのコミュニケーションも図られています。

収録曲と楽曲のテーマ

収録されている各楽曲は、明るいメロディの中に時代の鬱屈した雰囲気を払拭する力を持っており、聴く人に希望を与えるものとなっています。例えば、「静かなる逆襲」は椎名がデビュー前に作った曲をリメイクしたもので、感情のこもった歌詞が印象的です。

一方で、「走れゎナンバー」はフルートの音色が特徴的なファンクソングであり、当時のフィーリングを反映しています。「赤道を越えたら」においては、ブラジル音楽の影響を受けた楽曲で、異文化交流を感じさせます。

チャート成績

『日出処』はリリース直後、オリコンチャートで初登場3位を獲得し、一定の売上を記録しました。また、サウンドスキャンジャパンでの初回限定盤の成績も良好で、各盤がランキングに入りました。

結論

『日出処』は、椎名林檎の音楽的成長が詰まった作品であり、彼女の独自の世界観と深いメッセージが感じられるアルバムとなっています。聴く人に様々な感情を与えることができるこのアルバムは、椎名の新たな一歩を象徴する一枚と言えるでしょう。

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