日川

日川の概要

日川（ひかわ/にっかわ）は山梨県の甲州市を流れる一級河川で、長さは27.0km、流域面積は108.3km²です。この川は笛吹川の支流として知られ、多様な自然景観が広がるエリアで重要な役割を果たしています。

歴史的背景

近代の水害と治水工事

日川の下流では過去に土砂氾濫が繰り返し発生し、それが結果として勝沼扇状地の形成に影響を与えました。特に1907年（明治40年）と1910年（明治43年）は、県全域で大規模な水害が発生し、日川でも土砂災害が引き起こされました。この災害により、農作物に甚大な影響が及び、結果として2000人以上の農民が北海道へ移住することになりました。

1911年（明治44年）、国は第一回治水計画を策定し、日川流域を直轄砂防工事区域として指定しました。この年の10月には内務省の管理により砂防工事がスタートしました。1915年（大正4年）までに実施された第一期工事では、下流部に74基の水制工が設置され、1933年（昭和8年）までには上流部にも砂防堰堤が建設されました。特に勝沼堰堤はコンクリート製の堰堤として日本で初期の事例であり、重要な構造物となっています。

勝沼地域は日照時間が長く、降水量が少ないため水はけが良い土壌が特徴で、これがブドウ栽培やワイン醸造（勝沼ワイン）の発展に寄与しています。加えて、早期からの国による砂防工事の実施も、この地域の農業に良い影響を与えた要因です。

文化財としての評価

1997年（平成9年）5月7日には「勝沼堰堤」が登録有形文化財に認定され、その重要性が広く認められました。また2008年（平成20年）には、甲州市内の「日川の堰堤と水制群」が土木学会の選奨土木遺産に選ばれています。

地理的特性

日川は甲州市の砥山や小金沢山の近くに源を発し、様々な沢が合流して上日川ダムを経て流れを持っています。下流にかけては、しばらく山梨県道218号大菩薩初鹿野線と並行しながら南へ流れ、途中で奥日川渓谷や竜門峡、竜門の滝などを通過します。この地域は温泉も多いため観光地としても知られています。

流路は国道20号（甲州街道）や中央本線の甲斐大和駅付近で北西へ流れ、その後勝沼町内を流れた後に山梨市と笛吹市の境を形成します。最終的には重川とともに笛吹川に合流します。

流域自治体

日川の流域には以下の自治体が含まれます。

• - 山梨県甲州市
• - 大和町
• - 勝沼町
• - 笛吹市一宮町

支流

日川の主な支流には、雨ノ沢、大木賊沢、焼山沢、大蔵沢などが存在し、自然環境を形成しています。

橋梁

日川にはいくつかの重要な橋が架かっており、上流側から順に一の平橋、嵯峨塩橋、竜門橋などが挙げられます。また、JR東日本の中央本線日川橋梁や勝沼大橋も重要な交通の要所となっています。

観測局

峡東建設事務所管内に河川雨量局1局と水位局2局が設置されています。これにより日川の水文データが管理され、洪水や渇水の監視が行われています。

まとめ

日川は自然豊かな環境とともに、歴史的な治水工事を経て地域の基幹産業である農業を支える存在です。その美しい風景と文化的価値は多くの人々に愛されています。

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