日本橋弁松総本店

日本橋弁松総本店

東京都中央区日本橋室町に店舗を構える「日本橋弁松総本店」は、惣菜と折詰料理を専門とする、長い歴史を持つ老舗です。「現存する日本で最も古い弁当屋」として広く認識されており、その起源は江戸時代に遡ります。

歴史と成り立ち

弁松総本店の歴史は、文化7年（1810年）にまで遡ります。初代となる越後出身の樋口与一が、当時の日本橋魚河岸で働く人々のための食事処「樋口屋」を開いたのが始まりとされています。

多忙を極める魚河岸の人々は、食事を残してしまうことが少なくありませんでした。そこで与一は、残された料理を経木や竹の皮に包んで持ち帰れるようにしました。これが大変好評を博し、持ち帰る客が増加したことが、現在の折詰弁当の原型となったと言われています。

その後、事業は二代目、三代目へと引き継がれます。二代目の竹次郎は竹皮で包んだ弁当の販売に着手し、三代目の松次郎の代には、食事処としての営業を終え、折詰料理の専門店へと業態を転換しました。弁当の販売が主流となるにつれて、人々は松次郎を「弁当屋の松次郎」と呼ぶようになり、やがてその愛称が縮まって「弁松」となりました。

嘉永3年（1850年）、三代目樋口松次郎は、食事処を正式に店じまいし、折詰料理専門店「弁松」を正式に創業します。これが現在の「日本橋弁松総本店」の直接的な始まりとされています。

歴史の中では、徳川御三家の家令が人力車に乗って弁当を買いに来たり、日本橋から遠く離れた埼玉まで大八車で弁当を届けたといった記録も残されており、その名声と需要の高さがうかがえます。

第二次世界大戦後の昭和23年（1948年）には、「有限会社 日本橋弁松総本店」が設立され、折詰弁当の製造販売を専業とする体制が整えられました。

創業以来、日本橋の地で長きにわたり弁当を作り続け、江戸時代から受け継がれる伝統の味を守りながら、多くの老舗が軒を連ねるこの地域で、確固たる地位を築き、日本の食文化の一端を伝え続けています。

店舗情報

所在地: 東京都中央区日本橋室町一丁目10番7号
定休日: 年始を除き無休
営業時間:
月曜日 - 金曜日: 午前9時30分 - 午後3時00分
土曜日・日曜日・祝日: 午前9時30分 - 午後0時30分
駐車場: なし

交通アクセス

東京メトロ銀座線・半蔵門線: 三越前駅より徒歩約3分
東京メトロ東西線: 日本橋駅より徒歩約6分

伝統の味を守り続ける日本橋弁松総本店は、日本の弁当文化の歴史を体現する存在と言えるでしょう。

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